友人たちと交わす挨拶の代表といえば「Ça va ?」。日本語で「元気?」と訳されるこの表現。言葉どおりに相手の体の状態を尋ねているわけではありません。「Bonjour.」や「Salut.」の代わりだったり、会話を始めるためのきっかけだったり。こう聞かれたら「Ça va bien merci, et vous ?」や「Oui, ça va, et toi ?」などと答えます。
「Ça va?」と尋ね合いながら、お互いの頬を寄せ合うビズ(la bise)をすることも多く、「Ça va ?」「Oui et toi ?」「Oui.」とテンポよく進み、次の会話へと繋がっていきます。ちなみにこのビズの回数は地方によって異なり、私の住むブルゴーニュでは左右1回ずつの計2回。4回の地方もあるそうです。
今回も、前回に引き続きこの「Ça va?」の「va」、つまり動詞「aller」を使った表現をご紹介していきましょう。
体の状態を表す
挨拶の「Ça va?」に使われている「aller」は、体の状態を表しています。
親しい間柄で使われる挨拶は「Ça va ?」の他に、「Comment ça va ?」「Tu vas bien ?」「Comment vas-tu ?」など。
目上の人、または初めて会った人への挨拶は「Comment allez-vous ?」または「Vous allez bien ?」。答えるときは「Très bien merci et vous ?」、もしくは「aller」を使って「Je vais bien merci.」などです。
物事がうまくいく
「aller」を使って「物事がうまくいく」状態を表すこともできます。
「Ça va ?」という言葉は、ここでも大活躍。たとえば旅行の用意をしている友人に「Ça va ?」と尋ねれば「準備は進んでる?」という意味になり、「Ça va.」と語尾を下げて答えれば「うまくいっているよ」と伝えることができます。「すべて順調」と強調したければ「Tout va bien.」。
また何か困っている人に「大丈夫?」と声をかけるときにも「Ça va ?」。悩んでいる友人の話を聞いてあげて「心配いらないよ、うまくいくよ」と励ますときは「Ne t’inquiète pas. Ça va aller !」。「aller」の未来形を使って「Ça ira.」と言えば「なんとかなるよ」というニュアンスになります。
出ていく
「aller」を使った表現のひとつ「s’en aller」。「出ていく」や「立ち去る」という意味を持ち、日常会話でよく使われます。たとえば友人と一緒にいるときに「Je m’en vais.」と言えば「じゃぁ、帰るね」。「Tu t’en vas ?」と聞けば「もう帰っちゃうの?」。
「J’y vais.」(行くね)も同じ状況で使いますが、どちらかというと行き先が決まっているときに口にする表現です。「Je m’en vais.」だと、どこかの場所に行くというよりはこの場所から立ち去ることを主に伝えるニュアンスがあります。
映画などに出てくる命令形の「 Va-t’en !」は、「出てけ!」というきつい表現なので日常ではあまり使うことはありませんが、小さな子供たちの口喧嘩には「Va-t’en !」(あっち行け!)がよく登場します。
似合う
お店で素敵なドレスを見つけて試着。店員が「Ça va ?」と声をかけてきました。試着室から出てくると「Ça vous va très bien.」(よくお似合いです)。
このように「よく似合っている」とほめるときにも、「aller」を使って表現します。「aller bien à ~ 」で、「~に似合う」という意味。「Cette robe va bien à Manon.」だったら、「このドレスはマノンによく似合っているね」となります。
普段の会話でよく使うのは「Ça te va très bien.」。たとえば「Tu t’es fait couper les cheveux ? Ça te va très bien.」(髪の毛切ったの?よく似合ってるね)や、「C’est très joli, ton manteau. Ça te va très bien.」(このコート素敵。よく似合ってるよ)など。また「Ça me va bien ?」(これ私に似合ってる?)と聞くこともできます。
都合がいい
「これでいい?」「大丈夫?問題ない?」と尋ねたいときにも「aller」。
「On va au cinéma ?」と友人を映画に誘いました。「じゃあ、明日19時に迎えにいくけれど…」と言ったあと、「Ça te va ?」もしくは「Ça vous va ?」と続ければ「この時間でいい?大丈夫?」と確認することができます。
使いこなそう!
「aller」を使った表現は日常で使うものばかり。使いこなせるようになれば、口語表現の幅がぐんと広がります。
執筆 SAWA