マクロン大統領2022年の再選狙い 他党との提携探る

2020.09.09

2022年フランス大統領選

9月9日(水)、2017年5月に大統領に就任してから3年目に入ったマクロン大統領は、2022年に5年の任期満了を迎えます。今年の3月と6月、コロナ禍の中行われた地方選挙では、自らが4年前に結成した共和国前進党(La République en marche)が不本意な結果に終わったことから、2年後の再選を狙い幅広い他党との提携を探っています。

 

マクロン政権《黄色いジャケット運動》で弱体化、コロナ禍で改革にブレーキ

共和国前進党は2017年の選挙で大勝し、一党で議席の過半数を取りましたが、マクロン政府が打ち出す年金改革への反対運動が起こり、さらに2018年10月にガソリン税の値上げに対する反対運動として起こった《黄色いジャケット運動》がフランス全国に広まり長期化したことから、すでに30人の議員が離党するなど弱体化が見られます。

投票率の最低記録を更新した今年の3月と6月の地方選挙では、過半数289席を割り込む276議席となりました。そのため、同じく中道のモデム(MoDem)との連携を強化しています。

一党で過半数、あきらめ

共和国前進党議員の一人、ブリュノ・ボネル(Bruno Bonnell)氏は、「黄色いジャケット運動とコロナ禍で、我々の打ち出した改革は大幅に遅れをとったため、2027年まで時間が必要だ」と述べ、「残念ながら(次回の選挙で)一党で過半数を取ろうとすることは現実的ではない。そのため、同調できない人達は引き止めず、より多くの人と結束していく」と、党の置かれた現状の厳しさを語っています。

 

再選に向け超党提携必須、左派、右派問わず

2017年の大統領選でマクロン氏率いる共和国前進党に大敗を喫したフランスの伝統的2大政党、左派の社会党(Parti Socialiste)、右派の共和党(Les Républicains)は、その後議員の離党や内部分裂が起きています。

左派では、近々元社会党で外相のジャン=イヴ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)氏を党首に新党が結成されます。元社会党議員により結成された新党の書記長、ジル・サヴァリ(Gilles Savary)氏は「現共和国前進党の議員から多くの移籍が起こる」と予想しています。

サヴァリ氏は「当然マクロン政権と同盟」を結びますが、マクロン大統領自身も「一党支配ではなく、たくさんの党との同盟に変えていくべきだ」と路線変更を図っているように、「再選を狙う大統領は他党との同盟に活路を見出すしかない」との見解を述べています。

一方右派では、すでに現政権と連立を組んでいる、アジール(Agir)も、2022年に向け支持を表明しています。フランスの伝統的右派共和党(Les Républicains)議員により作られたアジール党の創設メンバーには、現マクロン政権の元文化大臣(Ministre de la culture)、フランク・リーステール(Franck Riester)氏も含まれています。

また、ニース(Nice)市長で共和党員のクリスチャン・エストジ(Christian Estrosi)は、フランス有力紙のインタビューで「共和党も2022年の大統領選に向けマクロンと協調すべき」と語り、共和党内で大きな波紋を呼んでいます。

共和国前進党は右派左派にこだわらず、マクロン政権と「互換性」のある政党との提携を図っています。

フィリップ元首相の動きは?

マクロン政権で首相を務め、先日辞職したエドワール・フィリップ(Edouard Philippe)氏は元右派の共和党員で、実は共和国前進党に入党したことがありません。

フィリップ氏は地方選挙に勝利し、7月に辞職した後北フランスのル・アーヴル(Le Havre)市長に就任していますが、今月末には、《市長たちの共和国》(La République des maires)という、フランスの市長たちが設立する団体に加入することが決まっています。この団体の長で元共和党のクリストフ・ベシュ(Christophe Béchu)アンジェ(Anger)市長は、元首相の「政治的意図」は把握していないと語っています。

9月の新学期に入り、2021年の地方および県議員選挙、22年の大統領選挙に向けた政治の動きが活発になってきています。

執筆:マダム・カトウ

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