2024年パリオリンピック 予算厳守で会場変更 シャンゼリゼで開会式も?

2020.09.11

2024年 パリオリンピック

9月11日(金)、2024年にパリでオリンピックおよびパラリンピックが開催予定です。前回は1924年と実に100年ぶりに五輪開催地に選ばれたパリですが、開催費用を予算内に収めるため、会場などが再三変更されています。

 

フランス人の8割オリンピックに好意的も、税金の無駄遣い?イメージ払拭

昨年7月に行われた世論調査では、フランス国民の84%がオリンピック開催を歓迎していました。調査を受けた人の3分の2は、オリンピックはフランス経済に好影響をもたらし、海外に向けて「観光宣伝になる」と回答しています。

しかしながら、一方で多くのフランス国民にオリンピックは「税金の無駄遣い」と受け止められています。

パリオリンピック委員会の経費はすべてスポンサーによって賄われていますが、アテネオリンピックの金メダリスト(カヌー)で委員長を務めるトニー・エスタンゲ(Tony Estanguet)氏は、「予算内に収まる控えめな運営を行い、フランス国民に大会の開催に共感を持ってもらうことが我々の使命」と予算厳守の重要性を強調しています。

 

既存施設に競技再振り分け、各自治体が経済効果狙い

パリオリンピックで行われる競技のほとんどは、パリ市内のスタジアムおよび近郊のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)で予定されていますが、オリンピック経済効果にあやかろうとする各自治体は、どの競技がどの会場、つまりどの自治体に振り分けられるかが死活問題となります。

特に、フランスでもっとも貧困層の多いセーヌ=サン=ドゥニ県(Seine-Saint-Denis)は、オリンピックによる「村おこし」に優先されることが約束されていました。ところが、今回の変更でバレーボール試合会場の移転案が浮上し、さらに「メディア村」も予定より規模が縮小されることになりました。

予算か?イメージか?石油会社のスポンサーにパリ市ダメ出し

度重なる予定変更の陰には、オリンピックのイメージを新しくしたい国際オリンピック委員会(Comité international olympique)と、1ユーロ足りとも予算オーバーを認めないフランス政府のプレッシャーがあり、狭間に立たされたパリオリンピック運営委員会(comité d’organisation des Jeux olympiques et paralympiques d’été de 2024)は、予算を切り詰めるため競技会場などの見直しを余儀なくされています。

さらに、2024年のオリンピックで「環境への配慮」を世界にアピールすることを狙うアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)パリ市長は、スポンサーの中にフランス屈指の石油会社トータル社(Total)が含まれることに反対を表明するなど、委員会にとって向かい風となっています。

また、パリオリンピック運営委員会が会場の変更を検討する度に、地方自治体の長たちがこの機会を逃してはなるものかと、地元への誘致をアピールしています。

 

開会式をシャンゼリゼで?

開会式は当初、1998年フランスサッカーW杯時にメイン会場として建設されたフランス最大のスタジアム(8万人収容)、スタッド・ドゥ・フランス(Stade de France)(セーヌ=サン=ドゥニ市)で予定されていましたが、パリ市内のコンコルド広場(Place de la Concorde)〜シャンゼリゼ大通りでの開催という案が浮上しています。

公道での開催には大変大掛かりな警備体制を敷く必要があるため、実現するかは不明ですが、世界中にパリ市の観光アピールをするには最高のロケーションであることは間違いありません。

 

サーフィンは、なぜか遠く離れた《タヒチ》で

フランス本土にはビアリッツ(Biarritz)というサーフィンのメッカがあり、五輪のサーフィン競技開催候補としてその他3つの町と共に名乗りをあげていました。しかしながら、今年1月にサーフィンはフランスの海外準県(collectivité d’outre mer)の一つ、タヒチでの開催が決定されています。

競技会場は「選手村から原則30分以内の距離」という当初のルールに全くかけ離れた選択であるだけに、有力候補だったビアリッツ市長は「金銭的理由というより、環境への配慮からもパリにより近い場所で開催すべき」と、苛立ちを隠せませんでした。

パリオリンピック運営委員会は、競技に重要な「波」の状況をフランス気象庁に分析させた結果であると主張しています。

一方、サーフィン選手たちからは、開催時期が冬で大きな波が期待できるタヒチへの変更は歓迎されています。

パリ近郊以外の地方都市も検討

パリ近郊に海はないことから、ヨット競技もマルセイユ(Marseille)での開催が決定していますが、このタヒチ開催という大きな例外から、運営委員会はパリ市内での開催が可能な競技についても地方での開催に目を向け始めました。

今後、パリから225kmに位置しフランス高速鉄道TGVで2時間半とアクセスの便も良い、北フランスのリール市(Lille)での団体競技開催などが検討されることになっています。

執筆:マダム・カトウ

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