16日(土)、フランスの空の玄関口であるシャルル=ド=ゴール空港(l’aéroport de Charles-de-Gaulle)とパリの東駅(Gare de l’Est)をノンストップで20分以内で結ぶ高速鉄道、シャルル=ド=ゴール・エクスプレス(Charles-de-Gaulle Express)のコンセッション契約を承認する法令が政府が発行する情報紙(官報/Journal officiel)に発表されました。
シャルル=ド=ゴール・エクスプレス
シャルル=ド=ゴール・エクスプレスは、シャルル=ド=ゴール空港の第2ターミナルとパリ中心部の東駅をノンストップで20分以内で直結する、高速鉄道サービスです。
現在は最短で31分
現在、シャルル=ド=ゴール空港とパリはRER(Réseau express régional/首都圏高速鉄道網)のB線で結ばれていますが、空港からパリの北駅(Gare du Nord)までほぼノンストップの急行の場合でも、最短で31分かかります。
周辺住民の交通手段として利用されていて、朝夕などの通勤時間帯は途中駅にも数多く停車するため更に時間を要します。また、通勤や帰宅時間帯には身動きが取れないほどの混雑に見舞われ、度々遅延を引き起こしています。
更に、治安が悪い地区を通っていてスリや強盗などが相次いでいることから、在仏日本大使館も利用者に対して注意喚起をしています。
このような状況を改善するため、シャルル=ド=ゴール・エクスプレスが計画されましたが、ここへきてようやく計画が本格的に動き出しました。
パリ市内は線路を新設
シャルル=ド=ゴール空港第2ターミナル駅に新たに専用のホームを設置し、パリまでの区間はRER B線沿いの線路を活用し、パリ都心部では線路を新設します。
これにより、シャルル=ド=ゴール空港とパリ間を20分以内で運行することが可能になります。
15分毎に運行
シャルル=ド=ゴール・エクスプレスは、毎日5:00から23:59まで、15分おきに運行されます。運賃は片道24ユーロ(およそ2,970円/1ユーロ:124円計算)で、2024年1月1日開業の予定です。
新たにかかる費用は2,232億円
シャルル=ド=ゴール・エクスプレスにかかる費用は、18億ユーロ(およそ2,232億円)に上り、預金供託金庫(Caisse des dépôts et consignations)、パリ空港公団(Groupe ADP)、フランス国鉄ネットワーク(SNCF Réseau)が共同で出資し、国からの融資を受けます。
この18億ユーロには、シャルル=ド=ゴール・エクスプレスが走ることになるRER B線の改修、維持のための5億ユーロ(およそ620億円)が含まれています。
デメリットも
2024年に開かれるパリ・オリンピックを見据え、パリを訪れる人達によりよいサービスを、と進められているシャルル=ド=ゴール・エクスプレス計画ですが、一方でデメリットも浮かんでいます。
オルリー空港とシャルル=ド=ゴール空港間移動が複雑に
現在、北部のシャルル=ド=ゴール空港と南部のオルリー空港(l’aéroport d’Orly)は、RER B線で結ばれていて、空港間を移動する際はRER B線を利用すれば乗り換えをする必要はありません。
しかし、シャルル=ド=ゴール・エクスプレスは、RER B線が乗り入れていない東駅が終着・始発駅の為、東駅と北駅の間を移動する必要があります。
高額な利用料金
現在、RER B線を利用した場合、シャルル=ド=ゴール空港とパリの間は10,30ユーロ(およそ1,280円)ですが、シャルル=ド=ゴール・エクスプレスを利用した場合、24ユーロ(およそ2,970円/RER B線の2,3倍)という高額な料金を支払わなければなりません。
また、市民の中には、空港を利用する人の為だけの路線を多額の費用を投じて整備することへ反発する声も上がっています。
今後の計画に注目していきたいと思います。
執筆:Daisuke