筆者はフランス語と英語の講師をしているのですが、よく「言葉が混乱しませんか?」というご質問を受けることがあります。
はい・・・実は、非常に混乱しております!
そこで今回は、便利な単語であるけれどフランス語と英語の表現で混乱してしまう代表的な例を一つをご紹介します。
フランス語でよく使う便利な単語は?
「フランス語で便利な表現や単語は何ですか?」と聞かれたら、私はためらうことなく答えます。それは・・・ on です!皆様おなじみの人称代名詞ですね。
on は nous の代わりに使われたり、「人一般」を表します。実は、on は「人一般」を表すときの用法が便利なのです。「皆や誰かがそう言っている」、「そうしている」という表現のときには on を使っておけば間違いありません。
実はフランス語のonは英語に訳せない?!
フランス語の on はとても便利な単語ですが、実は英語に訳そうとすると混乱してしまうことがあります。
例 ) On parle français en France. フランスではフランス語を話す
上の例文、主語のない日本語にもしっくりくる感じがしますよね。しかしこれを英訳しようとすると「on に該当する単語って、ない?!」となってしまうのです。「人一般」だから、on をあえて英語で言うなら they でしょうか。下記の例文をご覧ください。
They speak English in America. アメリカでは英語を話す
なんだか上記の表現では、当のアメリカ人が言うとヒトゴトのようですよね。英語での正しい表現は下記のとおりです。
English is spoken in America. アメリカでは英語が話される
この場合、英語では主語を隠して受動態 (be+過去分詞)を使うのです。受動態を使うことによってフランス語の on のような、中立的なニュアンスが表現できます。英語では受動態が大活躍するのです。
そういえば、学校英語でさんざん受動態を勉強させられたのに、フランス語ではちょこっとしか出てきませんよね。これは on あるいは、se を使う「代名動詞」などがあるおかげなのです。
最後に
日本語よりもずっと英語とフランス語は構造が似ています。しかし、大きな発想の転換が必要な表現がたくさんあるようです。英語とフランス語が混乱してしまうのも仕方がないことかもしれませんね。
執筆 Akiyo