フランス語を学習し始めると、友人や家族などの親しい間柄なら tutoiement、親しくない人や先生とは vouvoiement を使うように教えられます。しかし、どちらを使えばいいかわからない判断の難しい場合は、どうすればいいでしょうか。
今回は、tutoiement / vouvoiement どちらを使えばいいのか、シチュエーションごとに考えていきましょう。
tutoiement / vouvoiement の意味を再確認しよう
先ずはこの tutoiement / vouvoiement の意味を確認しておきましょう。
tutoiement
読み方は、テュトワモン。意味は、tu を用いた話し方、「君」で話すこと、です。家族や友人などの親しい間柄で使われる話し方のことを言います。ちなみに、「tu を用いて話す」という動詞は tutoyer です。
vouvoiement
読み方は、ヴヴォワモン。意味は、vous を用いた話し方、「あなた」で話すこと、です。それほど親しくない間柄、もしくは公の場、先生等に対して使います。また、友人でもあっても相手が複数人いる時には、この vouvoiement を使います。「vous を用いて話す」という動詞はvouvoyer です。
このように、フランス語は相手に会わせて「君」「あなた」「あなた方・君たち」と、tutoiement / vouvoiement を上手く使い分けなければなりません。
それ以外の場合はどちらを使えばいいか確認しよう
では、こんな時はどちらを使えばいいでしょうか。
・初めて会った人なのに、相手が tutoiement を使ってきた
・私はいつも vouvoiement だけど、先生は tutoiement を使ってくる
・しばらく親しくしているが、ずっと vouvoiement を使っている
・かつては客・店員の立場だったが今は違う
・友達の友達、先生の友達、先生の配偶者などと話すとき
初めて会った人なのに、相手が tutoiement を使ってきた
通常、初めて会う人と話すときは、vouvoiement を使います。バーやクラブ、パーティなどの砕けた雰囲気の中では、最初から tutoiement を使うことが多いですが、そういう場を除けば、最初は vouvoiement を使います。
本来、見知らぬ人に対していきなり tutoiement を使うのはとても失礼なので、できるだけ自分からは使うのを避けたほうがいいですが、もし相手が tutoiement を使ってきたら、臨機応変にこちらも tutoiement を使って話をしましょう。
私はいつも vouvoiement だけど、先生は tutoiement を使ってくる
本来、先生と生徒の関係では vouvoiement を使います。学校教育の場ではお互いに vouvoiement を使います。しかし、こちらが vouvoiement を使っているにも関わらず、先生が tutoiement を使ってくることがあります。
フランスでは、立場が違っても片方が vous、もう片方が tu で会話をすることはあまりありません。こういう場合、とても勇気がいりますが、先生に「Peut-on se tutoyer ?(tuで話してもいいですか?)」と聞いてみましょう。
しばらく親しくしているが、ずっと vouvoiement を使っている
もういい加減 vouvoiement をやめたいな、と思った段階で「Si vous voulez, on pourrait se tutoyer ?(もしよかったらtuで話しませんか?)」と訪ねてみましょう。
かつては客・店員の立場だったが今は違う
客と店員等の関係の時は、お互いに vouvoiement を使うのがマナーですが、付き合いが長くなり、今では友人の様な関係にまで発展している場合は、tutoiement で話したほうがいいです。また、今も客・店員の立場だったとしても、常連で非常に仲が良い場合は tutoiement を使っても問題ありません。
いきなりはちょっと、という場合は、先ほどの「Si vous voulez, on pourrait se tutoyer ?」と切り出してみましょう。
友達の友達、先生の友達、先生の配偶者などと話すとき
友達の友達、など自分とは直接つながりがあるわけではない人とは、最初は vouvoiement を使ったほうが無難です。しかし、友達の友達の場合は、すぐに「On peut se tutoyer !」と言われるでしょう。
これが、先生の友達や配偶者の場合は、いくら先生と tutoiement で話をしていたとしても、最初は vouvoiement を使ったほうがいいですね。
最後に
いずれにしても、tutoiement / vouvoiement はお互いが使うものですから、頑なに絶対 vouvoiement を使い続ける必要もありません。お互いの関係性を考えながら、上手に使い分けてみましょう。
今まで tutoiement で話していた人に対して、突然 vouvoiement で話してしまうと、急によそよそしくなったと思われてしまうことがありますので、注意してくださいね 。
執筆:Daisuke