今回ご紹介するのは “histoire de”女性名詞で「物語、歴史」を意味する”histoire” は無冠詞です。いったいどういう意味で使われているのでしょうか?
歴史という意味ではない⁈
前置詞deの後ろには動詞の不定形を入れます。例文を1つ見てみましょう。
J’appellerai mes parents ce soir histoire de prendre de leurs nouvelles.
さて、この文はどう和訳できるでしょうか?全体の文意からなんとなく自然に言葉が出てくると思います。すでにご存知の方がいらっしゃるかもしれませんね。
そう、「私は近況を聞くために今夜両親に電話をかけるだろう。」という意味です。なんと “histoire de” は「〜のために」を表す前置詞 “pour” の役割を果たしています!
ネイティヴの話を聞いているとちらほら耳にする表現なので、”pour”と同じ意味で使われていると知ったときは「へ〜学校では習わなかった!」と新鮮な驚きと発見でした。
会話ならではの表現
意味としては “pour” とまったく同じといえるこの “histoire de” 、 使う際に気をつけなければいけないことが2つあります。
1つめは会話のみで使われるくだけた表現だということです。ですから、学校のテストや小論文で「書く」ことは避けたほうがいいですね。
そして2つめは軽いテーマに用いられることが多いので、真面目で深刻な話題に使うのは、会話でも避けたほうがいいようです。
以上の2点を踏まえると、”histoire de” は日常的で、たとえ達成されなくてもいいような目的を表す場合なら問題なく使えます。
Il passera chez nous histoire de prendre un verre.
– 彼はうちに1杯飲みに来るだろう。
重いテーマには使わない
では、次のような場合はどうでしょうか。
Le ministre recevra les responsables du syndicat histoire de trouver une solution.
– 大臣は解決策を見出すために組合の責任者(との対話)を受け入れるだろう。
テーマといい目的といい、非日常的で軽く扱ってはいけないものなので、この場合は、”histoire de” ではなく前置詞 “pour” や “afin de” を使いましょう。
Le ministre recevra les responsables du syndicat pour trouver une solution.
まとめ
会話でしか使われない表現とはいえ、アカデミー・フランセーズのサイトにも紹介されているので、興味がある方はぜひ下記のページを読んでみてくださいね。
http://www.academie-francaise.fr/histoire-de-au-sens-de-pour
学校で教わることはないけれど、ネイティヴがよく使う会話表現です。ぜひ覚えておきましょう。
(※掲載されている辞書もあります。)
執筆:アンサンブル講師 Miwa