40代から50代によく見られるミドルエイジクライシス（中年の危機）。人生の半ばを迎え今までの生き方を振り返る時期に訪れやすく、フランスでは頻繁に la crise de la quarantaine という表現を使います。この時期、フランス人達は何に悩み、どうやって向き合っていくのでしょうか？今回は、フランスの中年世代の心と体の変化、考え方にスポットを当てていきます。
中年世代に訪れる心と体の変化とは？
40代から50代の人に多く見られるこのモヤモヤな時期は、今までどのように生きてきたか？自分の選択に満足しているか？何を目的に生きているのか？と、人生に立ち止まり自分の内側と向き合う機会と捉えることができます。
女性では更年期を通して体の変化をはっきりと感じる人もいますし、男性も女性ほどはっきりと感じなくても白髪が出てきたなど、小さな老いのサインに気づくでしょう。
“仕事もある、家庭もある、家もある、けれど何か物足りない。” このような空虚感を持つことがあれば、“中年の危機”の状態に入ったのかもしれません。しかし実際に危機に陥るわけではありませんので、脱皮と解釈しましょうと、専門医も提唱しています。
今までやってこなかったことにチャレンジ！
思春期の頃、聞き分けがよく反抗期がそれほど激しくなく過ごしてきた人は、中年時期に大きく揺れ動く傾向にあると言われています。親や社会から受け継いだ価値観に今まで素直に従ってきたけれど、「いや、自分は社会や親が良しとする道を歩むのは嫌だ。」という反発心や衝動を強く抱く場合も多いようです。
私の周りで中年時期に変化を起こした人の例を挙げてみます。本人達が、「クライシスでこうなった。」と公言しているわけではないですが、年齢層を見ても要因の１つにはなっていると考えることができます。
お誕生日にタトゥーを入れた友人のパパ
40代の友人のパパの話しです。娘さんが「うちのパパ、最近タトゥーをいれたの。ハートの形で、大切な人達のイニシャル入り。」と話しているのを聞いたときは驚きました。
タトゥーは胸のあたりに入れて、洋服を着ると見えなくなるそうです。彼は礼儀正しく、どちらかというと物静かな雰囲気ですが「まだまだ自分は衰えちゃいない！」という内に秘めた静かな意気込みを感じました。
白髪染めを手放しグレイヘアにしたキャリアウーマン
社会に活発で若々しい印象を与えるために、無理な若作りをきっぱりやめた40代後半の友人。「仕事で会う人たちの第一印象はあまり良くないかもしれないけれど、自分が心地良いことを優先したい。」とのこと。
彼女の髪は真っ白で、とても素敵です。世間はアンチエイジングのための美容クリームやエステなどが蔓延していますが、彼女はそこに流されず自分の選択に満足しています。
中年の危機は自分に合った対処法で乗り切ろう！
年を重ねれば、どうしても衰えを感じるものです。それが気になり過ぎて気分が塞ぎがちになる場合、フランスではプロの手を借りて、抱えていた思いの棚おろしをするケースも。
ホームドクターに相談して改善をサポートする薬を出してもらう場合もありますし、カウンセリングに行って自分の話を聞いてもらうセッションを受けることができます。
また、パートナーチェンジの話も、フランスではよく耳にします。「あの２人、うまくいっているように見えたけどなぜ？」という問いに、周りの人が「中年の危機よ。」とあっさり返答することも。
周りが何を言おうと、自分の気持ちに正直にという選択したのだと、周囲もそれを受け入れることが多いようです。
まとめ
中年の危機というと、何か大変そうなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。できるだけ自分の気持ちに正直になり、今までできなかったことをやってみるなど、自分にとって大切なことを優先にして気持ちをラクにしていけるといいですね。
” シンク オア スイム ” （原題 Le Grand Bain ）という、中年の危機をコメディタッチで描いたフランス映画があります。ユーモアたっぷりに中年のジレンマを描き、そしてほろりとする場面もあるので機会があれば是非見てみてください。
また、中年の危機という言葉の表現を説明したPodcastもありますのでそちらも参照してみるとより理解が深まると思います。
・A la Cafet’ 「中年の危機 ミドルエイジ・クライシス」をフランス語ではなんて言うの【フランス語表現】
執筆 YUKO
