フランスでは、普段の会話の中でも政治の話がわりと頻繁に出てきます。ご存知のようにデモやストライキも多く、このような活動からもフランス人の政治への参加意識の強さがうかがえます。ではフランスの国民たちは、なぜこんなにも政治に関心を持つのでしょうか。今回は、どのような教育によってフランス人が政治に興味を持つようになるのかをレポートします。
子どもが政治に興味を持つフランスの教育とは
私がフランスに住んで驚いたのは、子どもでも政治家の名前や政党の名前をよく知っていることです。小学生になると、社会の授業でフランスの国会の仕組みや政治とは何を指すのかを学ぶ機会があリます。そのためか、親が政治の話題を出そうものなら、大人顔負けで意見を述べていることもあるほど。
以前、中学生に「フランスのいい所はどこだと思う?」という質問をしたときは、「フランスの民主主義、市民が自由に発言できる権利があるところ」と答えていました。
政治というテーマを通して発言し合い、それが議論へとつながっていくのでしょう。フランス人たちは、自分の住んでいる国は一部の人が動かすのではなく、各自の意見を出し合って作っていくという意識を持っているのです。
自分の意見を持つことを大切にする教育
フランスは個人主義の国です。子どもたちは早い時期から、しっかり自分の意見を持つように教育されます。さまざまなルーツを持つ人たちが一緒に暮らすには、周りに流されない強い意志を持つことが大切だと考えられている印象を受けます。
フランス人たちは「世の中の、これっておかしくない?」と少しでも疑問に思ったら声に出し、行動に移して訴えていきます。そこには、私ごときがやっても変わらない、という消極的な態度ではなく「今、声を上げないでいつやるの?」という前向きな感情があります。フランス人は行動あるのみなのです。
フランスの政治と社会がわかる1分動画
日本でも同じように、学校で国会などについて勉強しますが、政治について議論するようなことはほとんどないと思います。こちらは、子ども向けに1分間でわかるフランスの政治や社会について説明している動画です。興味のある方はぜひご覧ください。
1jour, 1 question
政治参加は高校生から!気軽に行ける市民デモ
日本では、政治は大人がやっているものというイメージがあると思います。しかしフランスでは、若者の政治への関与は高校生ぐらいから可能です。
選挙権を得られる18歳よりも前に、市民デモなどには参加できるようになっています。デモの情報は、SNSや学校の掲示板に張り出されていることもあるようです。
私は参加したことはありませんが、デモ行進の後ろについていくだけでも可能なようです。見ていると、わりと気軽にデモ行進に参加している様子が見られます。
若者からも共感!気軽に参加できるゲイパレード
政治にそこまで関心がないとしても、多感な思春期のころには自分のアイデンティティに疑問を持つ子どもたちも多いです。そんな彼らにとってゲイパレードは、一種のお祭り気分で参加できるイベントです。マイノリティに対する差別をなくそうという趣旨は、多くの若者に共感を得ています。
雄鶏はフランスのシンボル?!
フランスの象徴として雄鶏がよく使われています。これはフランスの祖先のガリアの雄鶏からきていますが、正式なシンボルとはされていません。
それでも、有名なフランス発のスポーツブランド ルコックスポルティフ ( Le coq sportif ) にしかり、スポーツ関連で雄鶏がよく使われています。このような理由から、雄鶏はフランスのシンボルと認識しているフランス人は多いようです。
雄鶏は夜明けを告げ、監視をするといわれており、見事にフランス人を象徴しているなぁと感じます。1つ何か起これば各自の意見が飛び交いますし、黙っちゃいない国民性です。
政治もしかり、政治家だけに勝手にさせないぞ!と言わんばかりに皆が口を出してきます。多くの税金を納めているのですから、それがきちんと国民の生活に還元されているか、雄鶏のごとく監視をし納得がいかないと抗議運動へと発展していくのです。
まとめ
フランス人の政治への関わり方はとても熱く、興味深いです。今回このテーマを選んだことを家族にちらりと話したら、皆が嬉々としてフランスの政治のことを話し始めました。改めて政治に関心がある国民なんだと実感しました。民主主義とは、各自の発言が尊重されること。当たり前に発言し、行動していくのがフランス人なのです。
執筆 YUKO