2023年10月24日(火)、今年創業90年を迎えたエールフランス航空(Air France)は、2026年にパリの主要空港の一つであるオルリー(Orly)空港から撤退、フライトをシャルル・ド=ゴール(Charles de Gaulle)空港に集中すると発表しました。
「構造的な」需要減、国内、海外県行きなど非採算6路線から撤退
オルリー空港からの撤退により、フランス海外県、海外領土(DOM-TOM)グアドループ(Guadeloupe)のポワンタピートル(Pointe-à-Pitre)線、マルティニーク(Martinique)島のフォール=ド=フランス(Fort-de-France)線および レユニオン(La Réunion)島のサン・ドニ(Saint-Denis)線の3路線がなくなります。
さらにフランス本土内のオルリー発着3路線、トゥールーズ(Toulouse)、マルセイユ(Marseille)および ニース(Nice)行きからも撤退します。
ただし、こちらの3路線に関しては、エールフランス航空の子会社でローコスト航空会社のトランサヴィア(Transavia)航空に路線が引き継がれ運行は続けられます。
例外はコルシカ(Corse)行きで、公共サービスの受託契約の一環として運行されているこの路線は維持され、2024年の延長の入札にも参加することが決まっています。
トランサヴィアは旅客数拡大
一方、ローコスト航空のトランサヴィア航空は、オルリー空港を中心に旅客数を伸ばす方向で、親会社エールフランスは現在71機保有しているボーイング(Boeing)737 NGからエアバス(Airbus)A320およびA321neoに乗り換えるため、2021年に100機近く注文しています。
ポストコロナでビジネス需要4割減、個人客は大幅増
コロナ禍以降、観光旅行や家族訪問などの目的でローコスト航空を利用する個人客の数は爆発的に伸びています。
一方、短距離路線のビジネス客に関しては、オンライン会議などの導入が進んだことや、鉄道へのシフトなどで国内短距離路線の需要が激減しています。
すでにオルリー発着マルセイユ行きに関しては、今年も減便が行われています。
2023年のオルリー発の利用客は、2019年対比で40%減、これをビジネス需要の多い日帰り利用に絞ると、60%も減っています。
短距離路線利用減、「環境への配慮」も一因
経費削減のみならず、政府が推奨するエネルギー削減、環境への配慮といった取り組みも実を結んでか、今年9ヶ月間のオルリー空港発着の国内線利用者数自体が、2019年の75%と回復していません。
ドゴール空港にハブ、国際線の乗り継ぎ充実
オルリー空港自体の利用者数は、今年2019年の数をわずかに上回る100.3 % にまで回復しています。エールフランスの国内線は概ね赤字ですが、同社の業績全般としては2022年に黒字化しています。
フランス国内線もドゴール空港に集中することにより、国際線へ乗り継ぎの利便性が一層強化され、利益の向上を追求します。
執筆:マダム・カトウ