春の訪れを祝う!パリの中華街で中国の旧正月イベントを楽しもう

2026.02.02

冬の終わりを告げ、春の訪れを祝う旧正月。中国人観光客の増加とともに、「旧正月」や「春節」という単語を日本のメディアでもよく聞くようになった気がします。中国の旧正月のことをフランス語では「Nouvel An Chinois(中国式新年)」といい、中国系住民の多いパリでは毎年2月になると獅子舞やパレード、縁起物の特別な料理などを楽しむことができます。今回はパリの中華街と旧正月のイベントについてご紹介します。

 

フランスの中国系住民

フランスの国立人口統計研究所(Institut National de Démographie)の統計によると、のフランスにおける中国系住民は2024年時点で約11万6000人。ただこれはフランスに居住する中国出身者の数で、フランス国籍を持つ移民2世や3世は含まれていません。彼ら2世や3世を含めると40〜80万人程度になると推計され、ヨーロッパの他の国と比較してもフランスは多数の中国人・中国系住民を抱えています。

中国系人口が突出して多いのは、やはりパリ首都圏です。少し古いデータですが2017年の国勢調査によると、中国系住民の約2/3がパリ首都圏に、さらにそのうち約60%がパリ市内に居住しているそうです。

フランスにおける中国人の移民は19世紀後半頃から始まりましたが、本格的なコミュニティ形成は20世紀後半の話です。フランスの旧植民地だったベトナムやラオス、カンボジアの政情不安により、1970〜80年代にかけて多くの同国民がフランスに難民として移りました。その中には同地の中国系住民も多数含まれていたと言われています。これによりパリをはじめとする都市圏で、中国人を含むアジア系コミュニティが拡大しました。

 

パリの中華街

パリには合わせて3つの主要な中華街があると言われています。それらをご紹介します。

欧州最大級!13区の中華街

最も有名なのは、13区のイタリア広場(Place d’Italy)以南の中華街です。ヨーロッパでも最大級のアジア系居住区といわれ、約5万人のアジア系住民が暮らしています。

ここでは1960年代に建てられた高層マンションが今も立ち並び、パリと聞いて想像するのとは全く違う風景が広がっています。その高層マンション群の足元にはパリ中心部とは異なる、活気あるストリートマーケットや中華食材店、レストランが並んでいます。

写真:旧正月中の13区の中華街。背景には高層マンション群が

この地区は1960年代までは工業地帯で治安の悪いスラム街でしたが、パリの拡大とともに再開発され、当時の流行でもあった高層マンションが多数建てられました。ただ治安の悪い地区というイメージは簡単には払拭できず、新築マンションには多数の空家が出ていたと言われます。

そんななか前述のように難民が増加し、その受け入れのために13区の空家が活用されました。そしてここに定着した中国系などのアジア系住民が中華街を作り、現在にいたるまで栄えているのです。

この中華街はパリの旧正月イベントの中心地区でもあります。1月も後半になると大通りは赤色や金色の飾りつけがなされ、獅子舞や龍舞、さらにはパレードが繰り広げられ、毎年数万人規模の観衆でにぎわいます。期間中は他にも音楽やダンス、展示などのイベントも多彩で、まさに旧正月の本場の雰囲気が体感できます。

写真:13区の中華街のパレードの様子

エディット・ピアフが生まれ育った下町にある中華街

次によく挙がるのが、11区・19区・20区の境界にまたがるベルヴィル(Belleville)地区です。パリの北東部に広がる多文化地区で、中国・ベトナム・その他アジア系住民が長年共存しています。すぐ隣にアラブ系やアフリカ系の住民が多いエリアもあり、多文化が混ざった独特の活気を感じます。

エディット・ピアフの生家があることでも有名なこのエリアは、20世紀前半には貧困層も多い下町でした。ですが最近は家賃が比較的安いこともあり、多種多様な文化が作る賑やかな雰囲気に惹かれる「Bobo」と呼ばれる若者が好むエリアにもなっています(Boboに関する記事はこちら)。

写真:ベルヴィル地区の旧正月の龍舞

旧正月には、この中華街でも獅子舞や竜舞の巡回、音楽・ダンスのパフォーマンス、屋台出店などが見られます。パリ中心の13区と比べると規模は少し劣りますが、より飾り気のない「地元感のある」旧正月が楽しめるとも言えます。

この中華街が重要なエリアであることを示すかのように、2025年の旧正月イベントでは20区の区長があいさつをし、パレードを先導していました。

パリ中心部、アールゼ・メティエ地区の小さな中華街

規模は小さいものの、パリでもっとも古い中華街が3区にあります。人気観光地であるマレ地区のすぐ北に位置し、ポンピドゥセンターやシテ島からも目と鼻の先で観光の際にも訪れやすい立地です。パリ工芸博物館(Musée des Arts et Métiers)があるアールゼ・メティエ地区の一角にある小さな中華街ですが、中華系スーパーやレストランが密集しており非常に濃いアジア感が漂うエリアです。

この地区は、19世紀後半から20世紀初頭にやってきた最初の中国人労働者・移民が住みついたことから、最も古い中華街とされています。一時はかなり発展・拡大したものの、のちの都市開発で多くが移転し今日の比較的こじんまりした中華街になったようです。

イベントの規模も小さく、旧正月を祝うスポットがところどころで見られる程度ですが、中心部から近いため訪れやすいかと思います。

 

旧正月に見るパリの祝祭風景

フランスの中国系コミュニティにとっては、旧正月はほぼ唯一の年中行事です。獅子舞や龍舞、太鼓や民族楽器の演奏、伝統衣装の行列などのほか中国伝統料理の屋台出店や、書道や工作ワークショップなどの体験型イベントもあります。

またカンフーの教室や太極拳の同好会などが芸を披露しているのを見ると、非アジア系の人々も多く混ざっており、中国系住民のためだけのイベントではないことがよく分かります。

2026年は旧正月の本番が2月17日(火)で、以降約2週間程度パリ市内各所で祝祭が行われます。アジア系レストランでは縁起物料理をベースにした特別メニューが用意されることもあります。中華街はクリスマスさながらの金と赤の華やかな飾りつけで彩られ、まさに旧正月ムード一色となります。

写真:旧正月中は普段はあまり見ない飾りつけが見られる

 

おわりに

フランスでの観光は西洋の歴史や芸術、食を楽しむことが中心になりますが、ヨーロッパの重厚な街並みや欧州料理ばかりに触れていると、アジアらしいものが恋しくなることもあるでしょう。その時には中華街に足を運んでみて、多彩な文化が共存する大都市パリのまた違った一面を覗いてみるのも楽しいかもしれません。

関連記事:パリ 中国の旧正月が盛大に祝われ多くの人で賑わう(2019年)

執筆 Takashi

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