フランスの調査会社ELABEは4月24日(月)、マクロン大統領の支持率に関する世論調査の結果を発表しました。調査によれば、回答者の3分の2が、マクロン大統領の再選について否定的な感情をもっています。
第2次政権発足から1年
第2次マクロン政権がスタートして、2022年4月24日で約1年が経ちました。
世論調査(L’Opinion en direct)では、回答者の69%が「マクロン大統領の再選はフランスにとってよくない」と評価していることがわかりました。
Pour 7 Français sur 10, la réélection d’Emmanuel Macron a été une mauvaise chose pour le pays@BFMTV
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— ELABE (@elabe_fr) April 24, 2023
具体的には、マクロン氏にたいして「賛成しない」とする人が44%、「がっかりしている」が42%、「怒りを覚える」が39%、「敵意を感じる」が29%、そして「無関心」とした回答者が22%を占めます。
反対に「尊敬する」回答者の割合は13%、「支持する」が10%、「満足している」が7%そして「共感する」が7%と、肯定的な評価をする人の割合は多くありません。
このような否定的な評価を下した人の割合は、再選直後の調査時よりも14ポイント高くなっています。
マクロン政権への評価
第1次政権を含めても、マクロン大統領への評価は芳しいものとはいえません。回答者の66%がマクロン政権に「がっかりしている」とし、この割合は昨年7月から上昇しています。
とくに2018年11月の「黄色いベスト運動」以降、マクロン政権への市民の不満足は増しているようです。
多くの回答者が、「2017年以降、マクロン大統領は根本的な部分で何も変えていない」と考えています。
政策分野ごとの評価
4分の3以上の回答者が「政府の行動は満足いくものではない」と評価した分野は、保健衛生(79%)、教育(77%)、公的支出の管理(77%)、移民(77%)、社会的不平等の対策(75%)、購買力(74%)、環境(73%)です。さまざまな分野において市民の不満が高いことがわかります。
反対に、対外的な分野では不満足を感じる人の割合が比較的低いこともわかりました。たとえば「国際社会におけるフランスの地位」や「国際紛争における行動」について「不満足」と回答した人の割合は60%未満です。
人柄への評価
マクロン大統領の人柄については、60%の回答者が「好まない」とし、「評価する」としたのはわずか30%でした。
回答者の77%はマクロン大統領を「権威的」と評価しており、この値は2023年3月の調査時よりも8ポイント上がりました。また「高慢である」「軽蔑的」との厳しい評価も目立ちます。
一方マクロン大統領の勇敢さ、物事を変えようとする意志や国を改革する能力についての評価は、それぞれ微増しています。
年金改革への評価
マクロン第2次政権はとくに力を入れています。4月14日には憲法院が改革案に関する政府の法案を合憲と判断したばかりです。しかし世論調査では、政府の方針に対する厳しい意見が目立ちます。
回答者の3分の2は「戦いは続いている」(=改革を受け入れない)とし、政府の思うように民意が動いていないのが現状です。
特に支持者別の統計を見ると、ジャン・リュック メランション(Jean-Luc Mélenchon)氏の支持者の89%が、またマリーヌ・ル・ペン(Marine Le Pen)の支持者の70%が、現政権の以降に反対していることがわかります。
年代別に見ると、51%の年金受給者が「ページをめくるべき」(=新体制に移行すべき)、48%が「戦いは続いている」(=改革を受け入れない)と回答しており、意見が真二つに分かれています。
今後の舵取りはいかに
年金改革への評価は、マクロン政権の舵取り全体に大きな影響を及ぼしています。
すなわち、3分の2の回答者が、今後のマクロン大統領の改革に対して年金改革が大きな影響を及ぼすと考えているのです。
執筆あお
参照 ELABE (24/04/2023) Pour 7 Français sur 10, la réélection d’Emmanuel Macron a été une mauvaise chose pour le pays