フランス 衣料ゴミを2027年に半減、リユース、リサイクル率50%目標

2022.11.26

フランス 衣料ゴミを2027年に半減、リユース、リサイクル率50%目標

11月25日(金)、「フランスのモードの持続可能化を加速」するため、エコロジー・持続可能開発相クリストフ・ベシュ(Christophe Béchu)および環境担当政務次官ベランジェール・クイヤール(Bérangère Couillard)は、2027年までに衣類のリサイクルおよびリユース率を上げ、衣料廃棄物を現在の半に削減するという野心的な目標を発表しました。

 

衣料リサイクルとリユース、10着に1着以下

週単位で安価な新製品を輩出する「ファストファッション」の台頭により、衣服の大量生産と大量消費を繰り返した結果、フランスのみならず世界の衣服ゴミは増える一方です。

プラスチックゴミの問題が大きく注目される中、行き場を失った衣料は最も環境に悪い廃棄物の一つです。

ベシュ環境相が「服飾産業は最も環境に悪い産業の一つ」と述べている通り、廃棄される以前にも、原材料の木綿の生産には大量の水を必要とし、染料による河川汚染、また一部の化学繊維は洗濯するごとに微小な繊維が流れ落ちるなど、環境に多大な負荷を与えています。

フランスでは毎年約60万トンもの衣料が販売されています。

実際に購入された量は明らかにされていませんが、政府の発表によると、リサイクルもしくは古着としてリユースされている割合は10%にも満たないのが現状です。

 

2023年、衣料品に【エコ・スコア】導入

衣料のリサイクルおよびリユース率を上げるために、政府はいくつかの対策を検討しています。

そのうちの一つが「エコ・スコア」(«éco-score»)です。

これは健康に良い悪いをAからEの5段階で評価し、多くの加工食料品に記載されている同様のラベル「ニュートリ・スコア」(«Nutri-score»)の衣料版と言えるものです。

「エコ・スコア」は、各衣料品が環境に良いか悪いか5段階で評価し、消費者が購入時の判断材料として「環境」に配慮した商品を選ぶことを可能にするものです。

ちなみに2017年に導入されたニュートリ・スコアですが、残念ながら今のところこの記載は義務ではありません。

また、評価基準に疑問の声も上がっているため、2023年に改正が予定されています。

衣料品の環境への影響、目に見える形に

現在エコ・スコアが導入されるのか、その場合どのような基準や内容になり、どの程度の拘束力があるのかは明らかではありませんが、環境相は「環境への影響」を「目に見える形で表示」する様々な方法を数年前から検討していると発表しています。

政府はまた、エコ・スコアの食料品への表示にも意欲を見せています。

エコ・スコアを導入は、環境に配慮した製品を明示することで消費者の意識を改革し、メーカー側により環境に良い製品を作るように仕向けることを目的としています。

 

繊維のリサイクル産業を確立する

フランス政府はまた、「新たな資源を利用して繊維を作るのではなく、すでにあるものをリサイクルして作る」、そのために「パフォーマンスの高い繊維のリサイクル産業をフランス国内に確立する」という野心的な計画を明らかにしています。

現在のリサイクル率が低い原因として、(リサイクル繊維の)需要が少ない、価格が高い、また国内に繊維のリサイクル業がほとんどないことが考えられます。

政府はこれらの対策に、今後6年間で10億ユーロ(約1,451億円/1ユーロ=145,14円)の資金が必要と見ていますが、財源として、「汚染者負担」(“pollueur-payeur”)の原則に基づき、衣料メーカーへの負担を検討しています。

本日、クイヤール環境担当政務次官は、マイエンヌ県(Mayenne) ラヴァル(Laval)近郊のシャンジェ(Changé)にある、ルネッサンステクスティル(Renaissance textile)グループのリサイクル繊維生産工場(TDV Industries)を訪れ、具体的な計画を発表します。

執筆:マダム・カトウ

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