10月28日(金)、今月前半のフランスの気温は、南西フランスのトゥールーズ(Toulouse)で23℃〜27℃で推移するなど、例年の20℃前後に比べ異常な高さになっています。本日、ヌーベル=アキテーヌ地方(Nouvelle-Aquitaine)では、30℃を超える予報が出ているなど、フランスの観測史上最も暑い10月になりそうです。
10月末の最高気温が19℃〜30℃
本日の最高気温は、ブルターニュ地方(Bretagne)を除くフランス全国で20℃を超える予報が出ています。
例年10月に入ると気温がぐっと下がり、パリなど北フランスでは例年最高気温が20℃を大きく下回りますが、本日、タルブ(Tarbes)で29℃、ビアリッツ(Biarritz)で28℃、ボルドー(Bordeaux)で27℃、クレルモン・フェラン(Clermont-Ferrand)で26℃、マルセイユ(Marseille)で26℃、リヨン(Lyon)で24℃、ニース(Nice)で22℃となっています。
北フランスのリールやパリ、北東のストラスブールなどでも本日午後、最高気温が22℃に達する模様です。
全国的に例年より5℃高め
10月15日以降のフランス全国平均気温(全国30ヶ所の観測所の平均)は、例年に比べ5℃〜6℃も高く推移しています。10月の気温が最も高かったのは2001年ですが、今年はこの記録をさらに1℃超えており、フランス観測史上最も暑い10月となっています。
北アフリカに近いフランス
フランス気象局(Météo-France)のクリスティーヌ・ベルヌ(Christine Berne)氏によると、フランスで起こる熱波は北アフリカから高気圧が北上することで発生します。
それ自体は以前と変わりませんが、今年の現象が特に「異常」と言われる理由は、その熱波がフランスに到達する時期が春や秋にずれて込んでいることと、熱波の滞在期間が長くなったことです。
南仏、南西フランスで顕著、熱帯夜も
この異常な暑さは南西フランスで顕著に現れています。
トゥールーズ、ボルドー、アジャン(Agen)、タルブなどの南西フランスの都市で、今年は最高気温が例年より高いだけでなく、連続していることが明らかになっています。
また、一部では夜間の気温が20℃を超える熱帯夜が観測されています。
例年より5℃以上高め、11日間
フランス気象局のベルヌ氏によると、トゥールーズ市ではこれまで10月に25℃を超える日があったとしても、3日以上続くことはありませんでした。
今年は25℃以上の気温が連日続いており、23日にはほぼ30℃に達しています。
同市の今年10月における日毎の最高気温を、1991年から2020年の記録と比べると、5℃以上高い日が11日間もあり、それ以外のほとんどの日も1℃〜4℃高くなっています。
今年1月〜10月、1945年以降で最も暑い年
今年1年間の平均気温は11月と12月の気温次第ですが、1月1日〜10月24日までの記録で比較すると、2022年は1945年以降のフランス観測史上最も暑かった年になります。
最も寒かった1956年の年平均気温は12℃でしたが、今年は16℃に達しています。
今年は猛暑、森林火災、干ばつなど温暖化による災害が顕著になりましたが、気象観測士ジョエル・ギロ(Joël Guiot)氏は「これが今世紀は当たり前になる」と断言しています。
人間が引き起こした温暖化、フランスで予想以上に進む
またフランスにおける温暖化の実態は、気象研究の専門家によるこれまでの予測よりはるかに厳しく、このままいくと2100年に平均気温の上昇は3.8℃に達すると懸念されています。
ちなみに、この異常な暑さは日曜まで続き、徐々に雨などで天気が崩れ、来週木曜から気温が10℃ほど下がる予報が出ています。
執筆:マダム・カトウ