フランス 製油所ストが飛び火 鉄道や公務員など大規模ストへ

2022.10.18

フランス本日より大規模スト、鉄道、学校など多岐に影響、大幅ベア要求10月19日(火)、フランス全国でガソリン不足を引き起こしたトータル・エナジー(TotalEnergies)社の製油所ストは、現在も5ヶ所で継続しています。製油所従業員のベースアップ10%を要求する組合(CGT)はさらに業種を超えたストを呼びかけ、本日より鉄道員、公務員、教員などが参加する大規模なストに発展しています。

本日、フランス全土で国鉄の間引き運行、一部の学校での休講など各地でストの影響が出ており、パリ、リヨン、ボルドー、レンヌなど、フランス国内約150ヶ所でデモ行進が行われます。

 

教員、月300ユーロのベアを要求

学校教師および国民教育省(Education nationale)の職員が加入する複数の組合はストを呼びかけました。

フランスの教員組合(SNUipp-FSU)の代表ジスレーヌ・ダヴィッド(Guislaine David)氏は、「月300ユーロ(約4,4000円/1ユーロ=約147円)の昇給」は最低限だと述べています。

理由は、フランスの教員はEU他国に比べ賃金が低いためですが、組合側は「まずは差額の埋め合わせ」をした上でさらにベースアップを要求する構えです。

教員の今年のベースアップは3.5%でしたが、ダヴィッド氏は「2010年から給与が凍結されていたため全く不十分」で、現在のインフレを反映していないと語っています。

スト動員数わずか

教員組合の要求には、ベースアップ以外に年金改革への反対、職業訓練高校の改革反対(授業時間数を減らして企業内訓練を増やす)なども含まれています。

本日の教員のスト動員率はわずか6%となっていますが、職業訓練校では約26%に上っています。

また、フランス国内の高校のうち450校が閉鎖され、500校でストによる休講などが出ていますが、バカロレア(高等学校教育の修了試験)の改革に反対を唱えています。

 

公務員スト、月末まで延長も

フランス最大の公務員組合UFSE-CGTも公務員の給与計算の指数を10%上げる要求を掲げ、ストに突入しました。組合UFSE-CGTには国家公務員、地方公務員のほか公立病院の職員も含まれています。

組合側は、交渉の進捗によっては今月末まで延長する構えを見せています。

 

フランス国鉄SNCF、運転手の2人に1人がスト、地方での移動に影響

本日フランスの地方を走るTER(Transport express régional:地域圏急行輸送)、インターシティー(IC : train Intercités)は、平均2本に1本のみ運行しています。

一方、高速鉄道TGVはほぼ通常運行となっています。

今週末からの秋季バカンス、再び「人質」

本日ストライキに突入しているフランス国鉄第三の組合SUD-Railによると、同組合員のうち運転手と車掌の2人に1人、整備工の約30%がストに参加しています。

また、本日夕方の集会でストの延長の可否を決定すると発表しています。

フランスの学校が「諸聖人の日(Toussaint)休暇」に入る金曜日があと数日に迫っており、会社側を「早く交渉のテーブルにつかせることができる」と強気の姿勢を見せています。

夏休み直前にベースアップしたばかり

フランス国鉄は今年7月、夏休みの出発ラッシュの日に行われた僅か1日のストで、一般社員で3.7%、管理職で2.2%のベースアップに合意したばかりでした。

今回も秋休み直前というタイミングで、交渉が優位に運ぶことを期待しています。

 

パリ、イル=ド=フランス、郊外列車は4本に3本が運行

SNCFが運行するイル=ド=フランス地域圏(Ile-de-France)の郊外高速列車RERは、平均して4本に3本が運行しています。

パリ地下鉄は比較的ストの影響が少なく、一部の路線を除いてほぼ通常運行していますが、バスはストの影響で間引きされ、路線によっては大幅に減便されています。

パリ市は、同市が提供するレンタル自転車「ヴェリヴ」(Velib)の最初の45分間を無料にすると発表しています。

利用の際に割引コード”AUBOULOTENVELIB”を入力します。

 

原子力発電所でもスト、電力不足補充の原発5ヶ所の再稼働に遅れ

フランスの電力会社EDFの原子力発電所のうち9ヶ所は、すでに9月末からベースアップ交渉のためストに入っています。

ストは本日までとなっていますが、天然ガスの輸入減を補うため再稼働が予定されていた原子力発電所5ヶ所の再稼働スケジュールに大幅な遅れが出ています。

港湾職員、トラックの運転手にも波及

マルセイユの港湾職員は原油タンカーの荷下ろしをしないと発表し、原油や危険物を運送するトラックの運転手も16日より製油所ストを支援するストに入っています。

 

国民の39%がストを支持、49%が反対

エラブ研究所(institut Elabe)が行った世論調査によると、国民の39%はストを支持しています。特記すべきは反対が最も多いのは、年金生活者の層で62%もの人がストに反対しています。

執筆:マダム・カトウ

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