2024年にオリンピック夏季大会を開催するパリでは、街のシンボルであるエッフェル塔の改装が進められています。しかしコロナウイルスの感染拡大により2回の閉鎖を経たことで、入場料による収入が激減し、予算の調達が難しいのが現実です。
エッフェル氏の遺言
パリでは2018年より、2024年のオリンピック開催にむけてエッフェル塔の改装が進められています。
この改装では、エッフェル塔を設計したアレクサンドル・ギュスターヴ・エッフェル(Alexandre Gustave Eiffel, 1832-1923)の意向に沿う形で、塔を黄茶色に塗り直す計画でした。
この計画によれば、塔の30%の部分が研磨あるいは塗替えられることになります。
始めは赤かった?!エッフェル塔
実はエッフェル塔の塗り替え作業は、初めてではありません。当初は赤茶色で、1968年には現在の茶色に近い色に替わりました。他にも塗り替え作業は何度も行われており、総計で34の層が見られるといいます。
改装の難しさ
サビ・鉛との戦い
エッフェル氏の著作『300メートルの塔』(La Tour de 300 mètres)には、塔の保存のために最も重要なこととは、金属のサビに対応するための塗り替えである、と記されています。
金属のサビに加え、塔に使用されている鉛の管理も問題となっています。鉛は、1995年に行われた17回目の改装作業では使用されなくなりましたが、腐食に強いとして建設時に使用されています。
この鉛が表面に出ている部分が原因となり、2022年2月には塗り替え作業が一時停止していました。
予算不足
計画にあたっては、エッフェル塔の管理運営会社(la société d’exploitation de la tour Eiffel, SETE)によると、99%はパリ市が、1%はメトロポル・グラン・デュ・パリ(Métropole du Grand Paris, 自治体間連合)が予算を拠出しています。
しかし2020年にはコロナウイルスの感染拡大により外出禁止令が3月半ば〜6月末、また10月末に出され、半年以上にわたって観光客などが訪問できませんでした。これによって2020年度は520万ユーロ(約7億円)の赤字がでるなど、エッフェル塔は収入減に苦しんでいます。
2024年パリ大会に間に合うか
2022年3月の時点では、改装が進んでいるのはシャン・ド・マルス公園(Champ-de-Mars)側のアーチ部分のみで、これは塔のわずか5%のみということです。
さてオリンピックまでに、エッフェル塔はどんな色に替わるのでしょうか?
執筆あお