9月10日(金)、フランスで休暇中のアメリカ人観光客スティーヴ・オルソン(Steve Olson)さんが、今月6日、フランスのファミレスチェーン「ラ・パタトゥリ」(La Pataterie)で食べた焼きジャガイモが素晴らしかったと絶賛するツイートをしたところ、自他ともに認めるグルメ大国フランス人の間で話題沸騰しています。思わぬSNSでの注目にレストラン側は大喜びです。
創業25年のファミレスチェーン、ツイッターで突然若者に人気
オルソンさんは今週月曜に南仏の観光地アルル(Arles)にあるジャガイモ料理のチェーン店、ラ・パタトゥリで食事をしました。
ラ・パタトゥリは1996年創業で現在フランス全国に約160店舗を持つレストランチェーンです。
郊外にある大型のファミレスなので、パリ中心部などには店を構えておらず、客層は家族連れが中心でツイッターでの発信は行っていませんでした。
オルソンさんは食事の後合計8つのツイートを発信し「ジャガイモがメイン料理なのに、驚くほど素晴らしい」などと料理を絶賛しました。
このツイートが思いもかけず一気に拡散され、翌日からレストランには今まで店の客層ではなかった20代〜30代の若者達が訪れ始めました。
🧵ok, so, we’re vacationing in France, and were looking for a place to grab some dinner this evening, and melissa found the most amazing place… @La_Pataterie, a french chain focused on potatoes as a main course. AND IT WAS AMAZING (cc @darth) 1/8 pic.twitter.com/yIZ2WYqdWl
— steve olson (@steveolson) September 6, 2021
「言葉にならないほど美味しい」と【焼きジャガイモ】を絶賛
オルソンさんが絶賛した、ポム・ドゥ・テール・オ・フール(pomme de terre au four:ジャガイモのオーブン焼き)と呼ばれる料理は、焼きジャガイモにハムやチーズ、クリームを乗せたシンプルな家庭料理で、いわゆる「フランス料理」、「ヌーヴェルキュイジーヌ」といった量の少ないイメージとは正反対の豪快な盛り付けです。
オルソンさんが店でオーダーしたのは、サヴォワイヤード風(savoyarde)というサヴォワイヤード地方(La Savoyarde)のチーズが焼きジャガイモの上にかかったものです。ちなみにサヴォワイヤードチーズはこの地方で有名な料理フォンデュ(Fondu savoyarde)などに使われる、とろけるチーズです。
オルソンさんは、「エンジェルのコーラス隊が地上に舞い降りて来る至福の美味しさ」「このジャガイモは人間の手で作られた中で最高のもの」「クリーミーで柔らかいが崩れない」「言葉では言い表せないほど美味しい」と褒めちぎっています。
フランス旅行中に「何気にツイート」が大拡散
フランスのメディアからの質問に、オルソンさんは「自分はこのお店とは何の利害関係もなく、食事をした後、ホテルに帰って寝る前に何気なく今日の食事の感想をカリフォルニアのオークランドにいる友人らに向けてツイートしただけ」と述べています。
That’s a giant-ass baked potato, but a GLORIOUSLY baked one. And I don’t know what type, but guessing something like a giant yukon gold steamed and baked to creamy, tender, but still with structure perfection. I peed when i bit into it. There was a descending choir of angels. 4/8
— steve olson (@steveolson) September 6, 2021
The angels were singing “Bonnie and Clyde” by Serge Gainsbourg and Bardot. Seriously this was the greatest potato ever made by human hands, and we got it at what I have to assume is the french equivalent of a “Chili’s”. Words cannot express my amazement. LOOK AT IT AGAIN. 5/8 pic.twitter.com/o6jkv8uwKG
— steve olson (@steveolson) September 6, 2021
「ほっこり」なツイートを大歓迎!
コロナ禍が続き暗いニュースが多い中、フランスのSNSユーザーたちもこの明るく軽いノリのニュースに喜んでいます。
クロエさんは「今日一番の面白いツイートだったわ」とリツイートし、「今こういう話題が皆必要」とコメントしています。
C'était vraiment le top tweet rigolo du jour et on en avait tous besoin.
— Chloé Woitier ☕ (@W_Chloe) September 7, 2021
「フランスにはもっと美味しいものがある!」と反論も
一方で、「美食の国フランスに旅行に来て食べた最も美味しい料理がチェーン店のジャガイモ?」「しかも倉庫みたいな建物」などと、嘆きのツイートをする人もいました。
また別の人は、「残念です。本物のレストランに行ってみてください。後悔しないから」とツイートしています。
これに対し、同レストランチェーンの社長セバスチャン・ドゥ・ラポルト(Sébastien de Laporte)氏は、「私も以前ガストロノミックな(高級)レストランで働いていましたから、気持ちはわかります」としつつも、「うちの平均単価は一人当たり20ユーロ(約2600円/1ユーロ=130円)ですからね」とメディアのインタビューに笑顔で答えています。
オルソンさん自身は、「私たちはすでにいろんなレストランやブラッスリーを試したし、これからもいろんなところで食べるつもり」と反論しています。
レストランはお礼にオルソンさんを無料招待
オルソンさんはフランス旅行を続けています。
レストラン側はこの思いがけぬ「宣伝」に感謝の意を込めてオルソンさんと同行者に、「我がチェーンのどの店舗でもいいので、何回でも好きなだけ来てください」と無料招待しています。
オルソンさんは「胸が熱くなる」と招待に感謝しています。
オルソンさん絶賛「至福のジャガイモ」の正体は?
ラ・パタトゥリのジャガイモは北フランス、オドゥフランス(Hauts-de-France)地方にある、エスケルベック(Esquelbecq)村の130の農家が所属する農協から出荷されているものです。
ジャガイモの種類はいくつかありますが、主にサンバ(Samba)と呼ばれる品種が使われています。
La Pataterieのサイトはこちら
執筆:マダム・カトウ