11月17日(火)、第2回目のロックダウン開始から17日が経過した昨日16日、一日の感染者が9,406人と1ヶ月ぶりに1万人を割りました。昨日1日の死者は500人を超えるなど、引き続き警戒が必要とされるものの、感染者数が大幅に減少を始めたことから、前回より緩いと指摘されていた今回のロックダウンもその効果が現れたと見られています。
ピークには1日8万人超の感染者も、「R値」1を割る
11月7日には1日の感染者数が8万人を超えるなど、感染者の急増に伴い、集中治療室の逼迫が続いている地方の病院から、病床に空きがある地方の病院への医療搬送が行われていました。
第一波では、4月のピーク時の入院患者数は32,131人で、うち重症者は7,019人でした。昨日11月16日時点での入院患者数は33,497人と前回を若干超えていますが、集中治療室に入院している重症患者は4,919人と大幅に少なくなっています。
死者も前回は700人から1500人を超える日が約1週間続いていましたが、今回はピークを迎えた現在も500人前後にとどまっています。
注目されるのは、一人の感染者が他者に感染させる人数を表す、実効再生産数(別名「R値」)で、10月中は1.3と高く感染が急速に拡大しましたが、この数値が現在は0.8〜0.9となり、「1を割ると収束に向かう」ことから期待されています。
病院逼迫も治療法改善で重症化回避
第二波では、病院の治療法が第一波での経験を元に大きく改善されています。
例えば、初期の段階から酸素吸入を行い、抗凝固薬と呼ばれる血液凝固を阻止する薬を投与することで、塞栓症を回避し脳卒中の阻止が見込まれます。また、コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の投与により炎症を抑えるといった治療により、重症化を防ぐことが出来るとわかっています。また、救急時に気管挿管を極力行わないことなども改善点に挙げられます。
これにより、集中治療室への入院患者数および入院日数を減らし、新たな患者の受け入れが可能となり、その結果より多くの重症者の命を救うことが出来るようになりました。
更に、重症化リスクを伴う疾病が無い患者には、病院側で入念な検査を行ったうえで可能と判断された場合、看護師の補助のもと自宅で行う在宅酸素療法への切り替えも行われています。
前回と何が変わったか?第1波は《パニック》
新型コロナが世界各国でまだ未知のウイルスであったことから、波と第二波では治療法のみならず「運営」にも多くの違いがあります。
前回は、コロナウイルスの症状が出たら「専用救急電話番号に電話し、指示をもらう」、「専用の救急病院に行き、かかりつけの医者には行かない」といった指示が政府から出されていました。
その結果、「感染者と接触した可能性がある」といった不安を訴える人も専用番号に電話したため、回線がパンクし、検査が出来る医療機関は限られていたにもかかわらず、特に初期の頃は軽症者も病院に足を運ぶなどしたため、マスクをしていない患者が待合室に溢れ、医療現場の負担が短期間でピークに達しました。
マスクや酸素吸入器不足は解消
物質面では、病院内で慢性的にマスクや使い捨て手袋、医療用使い捨てガウンなどが不足していました。また、酸素吸入器も数が足りず、重症患者が吸入を受けられないまま死亡するというケースもありました。
今回はこういった物質的な不足は解消されています。
マスク着用が日常に、PCR検査数大幅増、予防&無症状、軽症者の早期発見
第一波中、当初は「空気感染はなく、マスクは感染者だけが着ければいい」と発表されていました。
「フランスでのマスク在庫不足から政府がそのような指示を出した」と問題になっていましたが、5月のロックダウン解除後、1ヶ月ほどで一般へのマスクの供給量は改善され、購入可能になったことから、商店などへの入店時にマスク着用が義務づけられました。その後、飛沫による空気感染の可能性から7月には、一部で外出時のマスク着用が義務となりました。
また、夏頃から巷にPCR検査場が増設され、医者の処方箋なしで無料で検査を受けられるようになっています。さらに症状が軽い患者については、開業医や薬局で抗原検査の導入が始まったことにより、医療機関の負担が軽減されています。
慢性的な人手不足解消しておらず
しかしながら、病院内の人手不足は解消されておらず、今回も「専門外の医療関係者」「開業医」「医大生」などの応援が広く呼び掛けられています。コロナ治療に携わる療関係者の間では極度の疲労による病欠や感染が増え、現場ではなお厳しい状況が続いています。
執筆:マダム・カトウ