10月23日(金)、昨日22日の新規感染者数が4万人を超え、新たに38県で21時〜6時までの夜間外出禁止令が発令されました。また、すでに発令されている県に関しても当初の4週間から6週間に延長されました。フランス冬の風物詩として世界的に有名なストラスブールのクリスマスマーケットも、今年は開催中止となりました。
1日の感染者2週間で2倍に、都市部から地方へ感染拡大
昨日発表されたフランスにおける1日の新規感染者は41,622人で、10月9日に20,399人と2万人を超えてからわずか2週間で倍増しました。これで感染者数は通算999,043人となり、新たな死者も162人増え、通算34,210人となりました。
現在、Rノート(R0)と呼ばれる実効再生産数は1.35、つまり感染者一人が感染後7日間で他の人に感染させる数は1.35人となっています。
カステックス首相(Jean Castex)は、新たに夜間外出禁止が導入された38県を発表しましたが、その中には地方の小規模な市町村が多数含まれています。また、第一波で感染者が少なかったフランス西部、ブルターニュ地方の中規模都市レンヌ(Rennes)や、コルシカ島(Corse)、フランス領タヒチ(Tahiti)の首都パペーテ(Papeete)が加わるなど、広範囲にわたっています。
フランスの病床の4割がコロナ患者、病院に危機感
感染者数の急増にともない、病院の集中治療室に入院しているコロナ感染患者は、昨日284人増えて合計約2200人となっています。これは集中治療室の病床全体の44%を占めています。
また、この数値はパリおよびイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)では62%にも達しています。そのため、政府は今年の夏まで5,800だったイル=ド=フランス地域圏の病床を、今後15日間で7700床に増やすと発表しています。
都市部、地方からの応援「期待薄く」
今年3月から約2ヶ月間続いた感染第一波の期間中、感染者の急増で病院が逼迫したフランス東部、パリおよびイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)には、感染者の少ない地方から、看護師など医療関係者の応援が来ていました。しかしながら、今回の第二波では、地方にも感染が拡大しているため、大都市の病院への応援が期待できないことが懸念されています。
第一波で多数の死者を出したフランス東部、アルザス地方(Alsace)最大の都市ストラスブール(Strasbourg)では、この冬の感染拡大への懸念から、11月27日から約3週間にわたり開催される予定だった、毎年2百万人が訪れるクリスマスマーケットの中止を決定しました。
また、第一波で感染者をほとんど出していなかった地方自治体の中には、そもそも医療体制が脆弱な市町村もあり、政府は警戒を強めています。
カステックス首相「11月が正念場」、夜間外出禁止の次の手は?
これまでフランス政府は「2回目のロックダウンはない」と強調してきましたが、昨日の発表でカステックス首相が「今回の夜間外出禁止で感染拡大を食い止められなければ、新たな対策を講じる必要がある」と発言したことから、外出禁止時間の更なる拡大や、新たなロックダウンを懸念する声が上がっています。
いずれにしても、まずは10月17日よりすでに夜間外出禁止が導入されている、パリを含む9都市の10月末の感染状況により、今後の対策が検討されます。
執筆:マダム・カトウ