3月20日(金)、新型コロナウイルス の感染拡大抑止のため、3月17日(火)正午よりフランス全土で外出禁止令が出されてから4日が経ちました。昨日19日は、1日の死者が100人を超えるなど事態が悪化する中、マクロン大統領は外出禁止令を遵守できない国民が多数がいることに苦言を呈しました。
パリ市内、一晩で518人が違反
16日(月)よりスーパーなどの食料品店と薬局、銀行、郵便局以外全ての商店が休業となり、翌日17日(火)に急遽15日間の《外出禁止令》が出されました。
この禁止令によると、例外的に許可されている外出は、
1)テレワークができない職場への通勤
2)食料品など生活必需品購入のための短時間の外出
3)高齢や病気を理由に買い物に行けない人のための援助
4)近所での短時間のスポーツや動物の散歩など。ただし1人で行うこと。未成年の子供のいる人は家族単位でも良い。
という上記4項目のみで、さらに通勤者は会社の通勤証明書、それ以外は住所と外出理由を書いた自己申請の宣誓書を持参していることが条件となります。
違反者には罰金135ユーロ(約15800円/1ユーロ=約117円)が課されます。
パリ市内では、早速17日の夜から18日の朝8時にかけて警察官3000人による1万件のコントロールが行われましたが、違反者は518人にものぼりました。
高齢者が退屈しのぎに?スーパーへ、ビーチへのアクセス禁止
最高気温が20°Cとなった19日、パリの公園にはジョギングや犬の散歩をする人、小さい子供を遊ばせるお母さん達がいましたが、さっそく数人の警察官によるコントロールの対象となっていました。
スーパーなどの食料品店では、買いだめがひと段落したためか入店を待つ列が短くなってきましたが、中には「家にずっといるのが苦痛」だから出てきたという高齢者もいます。
ジョギング中に警官にコントロールされ、宣誓書を持っているにもかかわらず家に帰るように言われたジョガーは、「何キロだったら走っていいのか?どのくらいの時間走っていいのか?30分なのか1時間なのかわからない」と当惑していました。
また、外出禁止令が出た17日(火)、フランス側のアルプス山脈で雪山ハイキング中に1人が転落死し、2人が怪我で病院に運ばれています。生存者は「外出禁止令が出ているのを知らなかった」と言っているようです。
フランス登山クラブ連盟(Fédération française des clubs alpins et de montagne)は、外出禁止期間中に入山しないよう呼びかけています。
フランス国民《外出禁止令の軽視》に大統領苛立ち
マクロン大統領は、昨日ワクチンなどの研究で知られるパストゥール研究所(Institut Pasteur)を訪れた際「フランス国民は外出禁止令を軽く見ており、ビーチや公園に何人かで出かけたり、無責任な行動をとっている人が多数いる」と苛立ちを隠せない表情でマスコミのインタビューに答えました。
事態を重く見た政府は、気温の上昇にともないビーチに日光浴に来る人たちを阻止するため、南仏やブルターニュ地方では海岸へのアクセスを禁止し、また森林や山岳部でのハイキングや登山、パラグライダー等の危険なスポーツも禁止されました。
まずは15日間、自由気ままな?フランス国民に《苦い薬を飲ませ》、延長必須
フランスの新型コロナウイルス の感染者は1万人を超えています。そのうちの約5000人が軽症のため自宅療養中または完治した人で、4462人が入院うち1122人が重症、死者は現時点で372人となっています。
昨日19日の一日の死者は100人を超え、医療機関、特に救急病院には更なる緊張感が漂っています。
パリのトゥノン病院(Tenon)で感染症科の責任者を務めるジル・ピアル(Gilles Pialoux)氏は、「15日間というのは、公民精神の欠如が甚だしく、規律を守れないフランス国民に(自由を奪われるという)《苦い薬》を飲ませるために発表された期間。こんな短期間での収束は有り得ない。延長は必須」と語っています。
執筆:マダム・カトウ