カマンベールチーズの名称戦争 《ノルマンディー地方産》は禁止へ

2020.03.05
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カマンベール名称保護AOP

3月5日(木)、ノルマンディー地方の名産カマンベールチーズの原産地名称保護(AOP:Appellation d’Origine Protégée)を巡り、生産者からなる原産地保護運営団体(ODC)は2年にわたり審議を行なっていましたが、製法に関する規定の改定には至らず審議会は打ち切られました。

 

昔ながらの《ノルマンディーのカマンベール》に差別化を

現在スーパーの店頭に並ぶカマンベールチーズには、年間6万トン生産されている《ノルマンディー地方で生産された》(fabriqué en Normandie)などの名称と、年間6千トンしか生産されない《原産地名称保証付、ノルマンディー地方産生乳で作られたカマンベール》(Camembert AOP au lait cru de Normandie)が混在しています。

つまり、大量生産されたものと、昔ながらの製法で作られたものとの違いが分かりにくく、消費者を混乱させています。この問題を解消すべく、製法規定改定の協議が行われていました。

新しい規定の原案は、本来AOPで決められた製法にある「生乳」から「低温殺菌した牛乳」で作ることを認める画期的なもので、表向きは生乳を使っていない大手生産者には有利に見えます。

しかしながら、原料の牛乳を生産する乳牛の30%がノルマン種であること、また少なくとも半年間ノルマンディー地方で放牧されていること、牛乳の成分の20%に牧草の成分が入っていることなど、大量生産に不向きな条件がつけられています。

また、伝統的製法に則りさらに厳しい規定を満たして作られた中小生産者のチーズには《元祖ノルマンディー地方のカマンベール》(Véritable camembert de Normandie)といった最高位の名称をつけることも検討されていましたが、一部大手生産者の反対でこちらも合意には至りませんでした。

 

原産地名称保護AOPとは?

フランスの農産物や農業製品などに使われる原産地認証には2種類あります。

国内で使われる《原産地呼称統制:AOC》(Appellation d’Origine Contrôlée; AOC)とAOPと呼ばれる欧州連合(EU)統一の《原産地名称保護》(AOP:Appellation d’Origine Protégée)です。これにより、原産地と品質が保証されます。

認証を受けるには、指定された地域で製造されることに加えて製法にも細かい規定がありますが、その内容はAOCもAOPも同じで違いはありません。

よって、フランスの生産者はまずフランス国内でAOC 認証を受け、その後AOP認証の申請をします。

 

カマンベール、原産地名保護に遅れをとった

カマンベールチーズはノルマンディー地方のカマンベール村(Camembert)発祥で、フランスを代表するチーズの一つです。にもかかわらず《ノルマンディー地方産カマンベール》がフランス国内でAOC認証されたのは1983年で、その頃にはすでに世界中でこの名称を利用した商品が生産されていました。

ちなみに「ブルーチーズ」などの名称で日本でも以前から親しまれている、フランスの代表的なチーズ《ロックフォール》(Roquefort)の名称がAOC認証されたのは1925年です。

カマンベールチーズの名称に関する揉め事が今なお存在する背景には、こういった事情もあるようです。

《ノルマンディー地方で生産された》は禁止に

今回の協議決裂で、大手の生産者は《ノルマンディー地方で生産された》という名称を使い続けることができなくなりますが、どこまで行政の管理が行き届くかは不明です。

執筆:マダム・カトウ

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