新型コロナウイルスの感染者が中国国内にとどまらず欧州諸国を含む世界各国に出始めている中、中国政府はこれ以上の感染拡大を防ぐため中国人の移動を制限しました。これにより、フランスのホテル業界では予約のキャンセルが相次ぎ、大きな経済的打撃を受けています。
相次ぐ予約のキャンセル
アコー(Accor)、ルーブルホテルグループ(Louvre Hotels Group)、B & Bなどのグループ会社の代表を務めるジャン・ヴィルジル・クランス(Jean-Virgile Crance)氏によると、同グループでの予約のキャンセル率は80%に達したといいます。現在、新規の予約は全く入らない状態です。
経済的打撃を受けたのは主にパリ
2019年にフランスを訪れた外国人観光客の内、中国人観光客の割合は2.5%と、あまり多くはありませんでした。また、中国人観光客の行き先としては、90%がパリを中心としたイル=ド=フランス地域圏で、残りの10%はニース、カンヌ、トゥールーズ、リヨン、ディジョンといった地方都市であるため、今回生じた経済的な打撃の程度にも地域差があります。
中国人観光客がフランス観光業にもたらす利益の大きさ
しかし、利益ベースで見てみると、中国人観光客はフランスの観光業にとって重要な存在です。2018年の観光業における利益の内7%は中国人観光客によるものです。また、2019年フランスでの免税品の購入額に関しては中国人が第一位で、全体の32.1%を占めています。アメリカが12%なので、これと比べるとかなり高い数値になっています。
パリの観光業界にとって今回の新型コロナウイルスは、「黄色いベスト運動」(Mouvement des Gilets jaunes)と公共交通機関のストライキに続く、この18か月の間で三度目の打撃です。早く事態が収束に向かうことを願います。
執筆・Shunsuke