1月15日(水)、昨年フランスで起業された企業数は815,000件で過去最多となりました。特にミクロ・アントルプルヌール(micro-entrepreneur、日本では「アントレプレナー」)と呼ばれる個人事業主の数は増える一方です。
あらゆる企業形態の登記、前年比18%上昇
2019年に新たに登記された企業数は815,000社で、前年より実に12万件も増えています。うち設立が簡単で売上の上限設定や軽減税率のある個人事業主、ミクロ・アントルプルヌールは8万件に上ります。
企業形態別で見ると、2008年にその前身となるオート・アントルプルヌール制度が進化したミクロ・アントルプルヌールが+25.3%、それ以外の以前からある個人事業形態が+15.7%、有限会社や株式会社が+8.6%と、すべての形態で増加しています。
雇用の《ウーバー化》と、政府の奨励
この新しいトレンドを、商業裁判所書記評議会(CNGTC:Conseil national des greffiers des tribunaux de commerce)は、「配車サービスのウーバー(Uber)社の運転手のように、以前からある「社員」という雇用形態をとらず、個人が「事業主」として独立して働くことが社会的な支持を得、起業に抵抗がなくなったことが大きい」、と見ています。
評議会はさらに、フランス政府がミクロ・アントルプルヌールの事務手続きを簡素化し、売上上限を上げるなどの奨励策をとってきたことが、大幅増に寄与していると分析しています。
料理配達業で起業、5割増
また、CNGTC独自の調査では、デリヴルー(Deliveroo)やウーバーイーツ(Uber Eats)等のレストランの料理配達用プラットフォームを手がける企業だけで、昨年は10万件が新たに登録され、その割合は前年から48%上昇しているとされています。
フランス人の若者、3人に一人が起業志向だが・・・
世論調査会社OpinionWay社が行った調査によると、フランス人の18~34歳の若者の29%が起業を望んでいます。
個人事業主の3割のみ起業後3年継続、《副業》も
しかしながら、起業した個人事業主の2017年の平均収入は月470ユーロ(約57,600円)で、登記から3年以上経っても事業を継続しているミクロ・アントルプルヌールは3割に過ぎないことが、フランス国立統計経済研究所(INSEE :L’Institut national de la statistique et des études économiques)の調査で判明しています。
またその3割は別の企業に就職しており、起業はあくまでも「副業」として行われています。
就職先見つからず、仕方なく起業
一方、ミクロ・アントルプルヌールの中には、正社員の就職口が見つからないことから、労働市場に食い込むために致し方なく始めた人もおり、《起業家》の増加を手放しで喜べないのが現状です。
執筆:マダム・カトウ