2019年フランスの起業数過去最多の影に 正社員雇用不足も?

2020.01.16

フランスの起業増加

1月15日(水)、昨年フランスで起業された企業数は815,000件で過去最多となりました。特にミクロ・アントルプルヌール(micro-entrepreneur、日本では「アントレプレナー」)と呼ばれる個人事業主の数は増える一方です。

 

あらゆる企業形態の登記、前年比18%上昇

2019年に新たに登記された企業数は815,000社で、前年より実に12万件も増えています。うち設立が簡単で売上の上限設定や軽減税率のある個人事業主、ミクロ・アントルプルヌールは8万件に上ります。

企業形態別で見ると、2008年にその前身となるオート・アントルプルヌール制度が進化したミクロ・アントルプルヌールが+25.3%、それ以外の以前からある個人事業形態が+15.7%、有限会社や株式会社が+8.6%と、すべての形態で増加しています。

 

雇用の《ウーバー化》と、政府の奨励

この新しいトレンドを、商業裁判所書記評議会(CNGTC:Conseil national des greffiers des tribunaux de commerce)は、「配車サービスのウーバー(Uber)社の運転手のように、以前からある「社員」という雇用形態をとらず、個人が「事業主」として独立して働くことが社会的な支持を得、起業に抵抗がなくなったことが大きい」、と見ています。

評議会はさらに、フランス政府がミクロ・アントルプルヌールの事務手続きを簡素化し、売上上限を上げるなどの奨励策をとってきたことが、大幅増に寄与していると分析しています。

料理配達業で起業、5割増

また、CNGTC独自の調査では、デリヴルー(Deliveroo)やウーバーイーツ(Uber Eats)等のレストランの料理配達用プラットフォームを手がける企業だけで、昨年は10万件が新たに登録され、その割合は前年から48%上昇しているとされています。

 

フランス人の若者、3人に一人が起業志向だが・・・

世論調査会社OpinionWay社が行った調査によると、フランス人の18~34歳の若者の29%が起業を望んでいます。

個人事業主の3割のみ起業後3年継続、《副業》も

しかしながら、起業した個人事業主の2017年の平均収入は月470ユーロ(約57,600円)で、登記から3年以上経っても事業を継続しているミクロ・アントルプルヌールは3割に過ぎないことが、フランス国立統計経済研究所(INSEE :L’Institut national de la statistique et des études économiques)の調査で判明しています。

またその3割は別の企業に就職しており、起業はあくまでも「副業」として行われています。

就職先見つからず、仕方なく起業

一方、ミクロ・アントルプルヌールの中には、正社員の就職口が見つからないことから、労働市場に食い込むために致し方なく始めた人もおり、《起業家》の増加を手放しで喜べないのが現状です。

執筆:マダム・カトウ

オンラインフランス語学校アンサンブルアンフランセは、プロの講師によるマンツーマンのスカイプレッスンが1回1500円~受講できます。いつでもどこでも手軽に受講できる利便性と生徒一人一人にカスタマイズされた質の高いレッスンが好評です。→フランス語無料スカイプ体験レッスンはこちら メールマガジンであなたのフランス語学習をサポートする情報をお届けします。フランス語メールレッスン

Classement