増える若者や女性の新規就農

2019.11.13

12日(火)、2018年度にフランスで農業に新規参入した人の内、70パーセントが40歳未満の若者で、更にその内の40パーセントが女性である、とフランスメディアが報じました。

 

若者の新規就農を国が後押し

フランスは、若者の就農を促進するため、1973年に青年就農交付金(l’aide à l’installation jeunes agriculteurs)が創設されました。この青年就農交付金は、若者の就農を財政的に支え、経済的に自立できるように支援することが目的で、交付金の平均は年額およそ15,000ユーロ(およそ180万円/1ユーロ:119円計算)です。

欧州農業開発基金(le Fonds européen agricole pour le développement rural/FEADER)、更に国家予算が財源として当てられています。

青年就農交付金の条件

交付金の受給条件は、

・初めて、自営農業主または経営者として就農すること
・交付金申請時に18歳以上40歳未満であること
・職業(農業)バカロレアⅣや農業技術資格免状などによる専門知識を有していること
・4年間で実現可能なビジネス計画を提示し、年間の最低賃金(SMIC)と同等の収入を確保できることを証明すること

となっていて、更に最低4年間は、
・事業主であり続けること
・会計管理を行う事
・業務計画を実行すること

という条件が付いています。また、交付が決定した場合は9カ月以内に事業を開始しなければなりません。

 

飛躍的に伸びた若者の農業定着率

この青年就農交付金により、フランスでは若者の農業定着率が飛躍的に伸び、交付金を受給した人の10年後の農業定着率はおよそ95パーセントに上ります。また、新規就農する40歳未満の若者は年々増加傾向にあり、2018年は新規で就農した人の内、およそ70パーセントが40歳未満で、更にその内の40パーセントが女性で、女性の新規就農が目立っています。

減少に転じる

順調に新規就農者を増やしてきたフランスですが、農業協同組合(Mutualité sociale agricole)は、新規就農者の数が減少に転じ、2017年に比べ、新規就農者の数がおよそ400人少なくなっていると発表しました。

また、2008年以来増加傾向にあった40歳未満の新規就農者の平均農地面積は、2017年の37ヘクタールから、初めて35.6ヘクタールへと減少しました。一方、40歳以上の新規就農者の平均農地面積ははるかに低く、およそ25ヘクタールです。

顕著な格差

同じ農業であってもそれぞれの分野で収入に大きな格差が出ていることも明らかになりました。最も収入が少なかったのは畜産業で、一ヶ月の平均収入はおよそ620ユーロ(およそ74,400円)。最も収入がおおかったのは、ワイン製造業でした。

収入に大きな格差のある農業ですが、一方で自然の中でのびのびと生活を送ることに喜びを感じる人も多く、依然として多くの若者が青年就農交付金を活用して就農しています。

若者の新規就農が増えているというのは、日本とは対照的で非常に興味深いですね。

執筆:Daisuke

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