7月5日(金)、夏のバカンス客で混雑し始めたフランス国鉄(SNCF)の駅ですが、業務効率化による窓口削減で待ち時間が最大で2時間となっています。
夏の混雑時期に窓口削減の影響が顕著化
フランス中の主要駅は、バカンスへ出発する客で大混雑しはじめています。特に混雑するパリリヨン駅では、切符販売窓口で1時間半から2時間待ちの行列ができています。
フランス国鉄はピークシーズンに混雑する駅で顧客対応のための人員を増員して配置していますが、切符の購入や変更する窓口の数は昨今のデジタル化で削減の一途をたどっています。
この状況を受け、フランス国鉄の労働組合の一つであるCFDTは、パリ、トゥールーズ(Toulouse)、ナンシー(Nancy)、リール(Lille)などフランスの主要駅窓口での待ち時間を計測し始めました。
それによると、駅の窓口に到達するまでの待ち時間は最低でも30分、最大2時間にも及びます。これは国鉄側の顧客サービス基準である最大30分の待ち時間を大幅に上回っています。
国鉄側は窓口での販売が高コストなことから、切符の購入はインターネットで済ませるよう呼びかけていますが、組合側は「デジタル化に反対はしないが、顧客サービスの低下は好ましくない」と今回の計測の動機を説明しています。
駅での切符販売、全体のわずか20%
駅で我慢強く順番を待っている乗客には、「オンラインで購入したがカードを悪用された」人や、「電車に乗り遅れたから変更をしてもらいたい」人、「質問があるので職員に直に対応して欲しい」高齢者など、切符に関する業務を無人化したいフランス国鉄の思惑通りには行かないケースが見受けられます。
しかしながらフランス国鉄は、「窓口で購入される切符は年々減少しており、現在は全売上の20%に過ぎない(2012年は30%)」ことから、「以前と同じ人員で窓口を維持するにはコストがかかりすぎる」と削減の必要性を説明しています。
現在切符の購入や変更はオンラインのほか電話でも受け付けており、さらに窓口対応の予約制も導入されています。また4月中旬から8月末にかけて駅職員を増員、窓口に来た人を用件に応じて振り分ける業務も行われています。
さらに7月中旬からフランス北部および東部の駅とリヨン(Lyon)では、カードだけでなく現金を受け付ける自動販売機を設置するなど、顧客のニーズに対応しつつも窓口業務のさらなる無人化は進められているようです。
執筆:マダム・カトウ