日本人妻による子供の「連れ去り」フランスで非難の声 フランス人の夫らがマクロン大統領に直訴

2019.07.02
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6月26日(水)、G20大阪サミット(20カ国・地域首脳会議)に出席するため来日していたエマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)大統領は、フランス国内で非難の声が高まる日本人妻による子供の連れ去りについて、当事者であるフランス人の元夫らと東京で面談し、「フランス人の父親が、日本人の配偶者と離婚する際の困難と、彼らが直面する苦悩を知っている」と、元夫らの立場を支持する考えを明らかにしました。

 

日本人による「連れ去り」「誘拐」とは

国際結婚をした日仏(またはその他の国)のカップルが離婚した際、日本人(主に日本人の元妻)が子供を連れて日本へ帰国すること、もしくは元々日本在住であっても、子供を連れて元夫や妻の元から離れて子供を会わせないようにしていることを、フランスでは「連れ去り」「誘拐」(Enlèvements)と表現されて、フランス国内で激しい非難の声が上がっています。

フランスに大きな衝撃を与えたドキュメンタリー

今年の3月21日、フランスで放送されたドキュメンタリー「日本、誘拐された子供たち」は、フランスに大きな衝撃を与えました。

番組が放送された直後から、ツイッター上には「日本はあらゆる差別を擁護する国の一つだ」「日本では、日本人の母親が外国人の父親から子供を誘拐することは違法ではない!」「見ていられない、心が壊れてしまいそう」と、日本を厳しく非難する声や信じられないと言った声が上がりました。

2人のフランス人の父親

番組は、エマニュエル・ド・フルナス(Emmanuel de Fournas)さんとステファン・ランベール(Stéphane Lambert)さん、2人のフランス人男性に密着しています。

エマニュエルさんは、3年近く会っていない娘に会うために元妻のところへ行き娘に話しかけますが、「子供が怖がっている、どこかへ行って」と面会を拒否されます。警察が到着し、元妻は「離婚後、娘には近寄らないように契約を結んだ」と主張し、エマニュエルさんはフランスの裁判所が発行した、2週間に1度と、ヴァカンスの半分は娘に会う権利があることが書かれた書類を提示しますが、元妻には「それはフランスの話で、ここは日本だ」と言われます。

また、ステファンさんは、離婚の際に、月に4時間息子と面会する権利を得ていますが、元妻側はこれを一切拒否し、ステファンさんは会うことができない状態が続いています。

子供に会えないことを苦に、自殺している人も

番組では、2010年以降、2名のフランス人男性が子供と会えないことを苦に自殺していると説明しています。

 

共同親権と単独親権

日本では離婚の際、片方の親が親権を持つ単独親権が採用されていて、多くの場合母親に親権が渡ります。一方、フランスを始めとするヨーロッパやアメリカでは、離婚後も両親が共に親権を有する共同親権が一般的です。

子供が親に会う権利が優先されていて、子供は双方の親が責任を持つとの考え方から、離婚した後であっても子供は両親のもとを互いに行き来することができます。

両親の同意が原則

共同親権を認めているヨーロッパ諸国では、片方の親が一方的に子供を連れ出し、もう片方の親が子供に会えない状態は「誘拐」であるとの考え方が一般的です。

たとえ婚姻の状態での一時的な帰国であっても、相手の同意を得ていない場合や同意が確認できない場合には「拉致」とみなされ、犯罪として処罰の対象となる場合があります。

 

ハーグ条約

国際私法の統一を目的としたオランダのハーグ(Hague)に本部を置く国際機関「ハーグ国際私法会議(Hague Conference on Private International Law/HCCH)」は、世界的に増加した国際結婚を背景に、片方の親による子供の連れ去り等の問題を解決するため、1980年10月に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」を締結しました。これを、ハーグ条約(Hague Convention)※と呼びます。

2019年5月の時点で、ハーグ条約を締結している国は100カ国に上り、日本も含まれています。
※ハーグ条約は、ハーグ国際私法会議が制定したこの他の条約を指すこともあります。

仕組み

ハーグ条約では、子供の幸せ、権利が第一に考えられていて、片方の親による一方的な「連れ去り」によって、もう片方の親や親族、友人との交流が断たれ、異なる言語や文化などの急激な環境の変化などによる悪影響から子供を守るために、原則として元の居住国に速やかに返還する枠組みや、国境を越えて親子が面会できる仕組みなどが定められています。

ハーグ条約について→外務省のホームページ←

 

マクロン大統領が元夫らの立場を支持

今回の、エマニュエルさんやステファンさんの件は、フランスから日本へ子供を連れ去ったわけではなく、単独親権である日本国内で起こっている為、フランスメディアは「合法な誘拐」と報じています。ハーグ条約はあくまでも、国をまたいだ国際的な「連れ去り」行為に対して定められた条約の為、日本国内の法律が優先されています。

G20大阪サミットの為に来日していたマクロン大統領は、日本在住のフランス人会代表と面会をした際、ステファンさんたちとも面会をし、「フランス人の父親が、日本人の配偶者と離婚する際の困難と、彼らが直面する苦悩を知っている」「我々は、彼らの側にいて、我々はこの問題と闘い続けるだろう」と、元夫らの立場に寄り添う発言をしました。

日本も共同親権導入か

こうした動きと高まる国際的な批判を受け、5月9日、法務省は共同親権導入の可否を問う検討段階に入ることを発表しました。

子供が最も幸せになれる方法はどちらなのでしょうか。今後の行方に注目が集まります。

執筆:Daisuke

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