3日(月)、2040年に予定されている、フランス国内でのガソリンやディーゼルなどを燃料とする化石燃料車の販売終了を定める法律制定に向け、国民議会(l’Assemblée nationale)で審議が開始されました。国の主要な産業である車製造業の大変革で、最大で34万人に上るとみられる雇用の喪失をいかに食い止められるか、が審議の争点になるとみられています。
フランスの新車販売の98パーセント以上は化石燃料車
現在、フランスの新車販売台数のおよそ98パーセント以上を、ガソリンやディーゼルエンジンの化石燃料車が占めています。
2015年に採択された気候変動(地球温暖化)抑制に向けた国際的な枠組み「パリ協定(Accord de Paris sur le climat)」に批准するための主な取り組みとして、フランス政府は2040年までにガソリンやディーゼルエンジンの化石燃料車の販売を禁止する方針を発表しました。
また、政府は2022年までに石炭による火力発電所を全廃することを4月に発表しています。これにより、フランスは2050年までに、国内の二酸化炭素排出量を二酸化炭素排出権取引や二酸化炭素吸収活動などによって差し引きゼロにする「カーボン・ニュートラル」を目指しています。
雇用をどう守るか
現在、フランス国内全体では、およそ40万人が車製造に携わっています。
労働組合「労働者の力(Force Ouvrière)」のローラン・スモルニック(Laurent Smolnik)自動車産業担当は、「化石燃料車に必要な従業員が5人とすると、電気自動車では3人で、4割の人員が不要になる」と述べ、生産される自動車が全て電気自動車になった場合、単純に計算しただけでおよそ16万人が職を失うことになると述べています。
自動車産業全体では、最大でおよそ34万人が職を失う恐れも指摘されていて、フランス経済に大きな影響を与えるのではないかと、自動車製造業界は頭を悩ませています。
環境保護団体は2030年までに全廃を要求
環境保護団体は化石燃料車の販売禁止を2030年に前倒しするべきだと訴えています。一方で、市民からは「2040年までに全廃は難しい」「目標年が早すぎる」との声も上がっています。
日本では、電気自動車や燃料電池自動車が開発されてからも一向に普及が進んでいる気配を見せませんが、フランスのこの大胆な取り組みはよい手本となるのでしょうか。
執筆:Daisuke