2日(日)、フランス中部に位置するトゥール(Tours)で、第4回国際チーズ・乳製品見本市(le Mondial du fromage et des Produits Laitiers)が幕を開けました。初日に行われた、チーズを扱う職人であるフロマジェ(fromager/ère)の世界最高峰を決める、世界最優秀フロマジェコンクール(Concours Mondial du Meilleur Fromager 2019)で、日本人が見事3位に輝きました。(写真は2017年開催時のもの)
国際チーズ・乳製品見本市
今回で4回目となった国際チーズ・乳製品見本市は、世界中の優れたチーズを紹介するだけでなく、生産者同士の情報交換の場、新製品の発表の場、生産者と販売業者・消費者が直接出会うことによる新たな販売経路の獲得など、チーズ業界全体を盛り上げる目的で、2013年から2年に一度開催されています。今年は世界から、フランスを始め、日本やイタリア、ドイツ、アイルランドなど35カ国が参加しています。(動画は2017年開催時のもの)
日本からも多くのバイヤーが
この見本市には、世界中から多くのバイヤーが集まってきますが、とりわけ、ロシア、中国や日本を始めとするアジア諸国などでは、経済の発展と共にフランス産チーズへの需要が急激に高まっていて、特にアジア諸国からのバイヤーが目立ちます。アジア諸国、特に中国は、フランス産チーズにとって、今後大きな市場となることが期待されています。
フランスは、チーズ産地の数では世界1位
フランスのチーズ生産量は、アメリカ、ドイツに次いで世界第3位ですが、産地(テロワール/terroir)の数としては世界1位を誇り、2位以下はイギリス、イタリアと続きます。
一方で、イギリスでは新しいチーズなどが次々と誕生して、今回の見本市にも斬新でユニークなチーズが数多く出品され、人々に受け入れられるかの市場調査の場として期待されています。
世界最優秀フロマジェコンクール
見本市の初日には、世界最高峰のフロマジェを決めるコンクールが行われ、日本から参加した鈴木裕子(ひろこ)さんが、見事第3位に輝きました。
フロマジェとは、チーズ生産者、もしくはチーズを扱う職人、チーズ屋を指す言葉で、このフロマジェコンクールはチーズを扱う職人の腕を競うコンクールです。9か国から11名の選手が参加し、日本からは、1月27日に行われた第2回日本最優秀フロマジェ選手権大会で優勝し、出場権を獲得した鈴木裕子さんと同選手権2位の葛石(かっせき)朋子さんが参加していました。
<出場者(国名五十音順)>
🇺🇸 Jordan EDWARDS (アメリカ)
🇺🇸 Rory STAMP (アメリカ)
🇬🇧 Nick BAYNE (イギリス)
🇦🇺 Aurora GHIGO (オーストラリア)
🇳🇱 Evert SCHÖNHAGE (オランダ)
🇨🇦 Andrew MOULTON (カナダ)
🇰🇷 Eunju KIM (韓国)
🇯🇵 鈴木 裕子 (日本)
🇯🇵 葛石 朋子 (日本)
🇨🇵 Virginie DUBOIS-DHORNE (フランス)
🇲🇽 Cesar OLIVARES (メキシコ)
審査方法
午前中に「回答選択式の筆記試験(30分)」「チーズの産地や名前、熟成時間などを当てるブラインドテイスティング(10分)」「秤を使わずに様々なチーズを所定の重さにカット(5分)」「自分が用意したチーズに関するスピーチ試験(5分)」が行われました。
午後には、4時間を通して5つの項目が審査されました。(課題の日本語名は日本最優秀フロマジェ選手権大会に準じます)
審査課題 | 制限時間 | 内容 |
①チーズの盛り合わせ Assiette de fromages |
最初の1時間まで | 指定された5種類のチーズを使い、最大40㎝×40㎝の皿に、食材と共にチーズを盛り合わせる。 |
➁味のマリアージュ Mariage de goûts |
指定された1種類のチーズを使って、自身が選んだ食材との味の調和を提案する。6皿制作する。 | |
③チーズの仕込み Préparation fromagère |
開始後2時間まで | 指定された1種類のチーズと、トゥールの市場で仕入れた生鮮食品のみを使ってチーズの仕込みを6人前行う。 |
④チーズプラトー Plateau de fromages |
開始後4時間まで | 「チーズ職人の独創性」をテーマに、用意されたチーズを使って最大100㎝×100㎝の台に自由に制作。 |
⑤アーティスティックカット Découpage et présentation |
最大50㎝×50㎝の台に、用意された最大10kgのチーズを使って、芸術的にカットしていく。 |
このコンクールでは、2013年に行われた第一回大会で、日本人の村瀬美幸さんが初代の世界チャンピオンに輝きました。
この見本市は明日、4日まで開かれていて、この他にも世界最高のチーズを決める「国際『製品』コンクール(Le Concours International “Produits” )」も開催されています。こちらのコンクールは、会場を訪れた人は審査員を務めることができます。フランスに滞在中の方は、是非審査員になって世界最高のチーズを選んでみてはいかがでしょうか。
詳しくは→le Mondial du fromage et des Produits Laitiers 公式ページ←でご確認ください。
執筆:Daisuke