フランスの家賃上限規制が復活、パリ市が先行

2018.12.14

パリ家賃規制

12月11日、パリ市議会は賃貸住居の家賃上限規制の再導入を決議し、来年いち早くパリ市内で施行されることになります。

 

パリ市が先行、来年の新規賃貸契約や更新時から

12月11日のパリ市議会の決議により、パリ市長は「住居およびデジタルに関する法律」エラン法(loi Elan:évolution du logement et aménagement numérique)で定められている「賃貸アパートの家賃上限規制」の導入を申請することができます。

家賃上限規制の適用は、新規の賃貸契約もしくは更新時にかぎられます。

 

前回の家賃規制は失敗、取り消し

家賃規制は2015年アルール法(loi Alur)の下で初めて登場しましたが、結局実施したのはパリ市とリール(Lille)市のみで、いずれも取り消されています。

2017年パリ行政裁判所(Le tribunal administratif de Paris)は「家賃決定の根拠となる参照家賃設定をパリ市に限定し、パリ市が含まれるイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)で同じく家賃が高騰している412の市町村が含まれていないのは、イル=ド=フランス地域圏知事のミス」など施行された制度の不備を指摘し、取り消しを命じました。

アルール法の失敗を踏まえ、エラン法が可決されていますが、導入するかどうかの決定は各自治体にゆだねられています。

前回のアルール法は、ただでさえ規制が多い通常の賃貸契約(3年~6年)に加えさらに「家賃が好きなように決められない」ことに嫌気が差した大家が、賃貸アパートをAirbnbなどの観光用短期アパートに転換したため、逆に物件不足を助長する弊害も生まれています。その後、観光用短期アパートの規制も強化されましたが、パリのアパート事情は改善していないのが現状です。

ちなみに昨年のパリの家賃上昇率は約2%で、更新時の1平米あたりの平均家賃は24.7ユーロ(3167円/ユーロ=128.23円で換算)でした。

 

5年間テスト施行、違反した大家には罰金も

パリ市はエラン法をまずは5年間テスト施行するとしています。内容はアルール法で定められた「参照家賃」「家賃下限」(参照家賃から-30%)および「家賃上限」(参照家賃に+20%)と同じで、これが毎年更新されます。アルール法との違いは前法にはなかった罰則で、違反した大家には個人で5000ユーロ(約64万円)、企業の場合15000ユーロ(約192万円)の罰金が課されます。

先月末から続く「黄色いベスト」運動は、物価高騰により生活が厳しくなったことを訴えるために起こりました。家賃高騰もその要因の一つです。規制の導入で歯止めをかけられるか?今後の動向が注目されます。

執筆:マダム・カトウ

1ユーロ=128.23円

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