11月23日(金)、アメリカで長く普及しているバーゲンセール「ブラックフライデー(Black Friday)」は、フランスでも毎年認知度を高めていて、今年も商店やネット上で安売りが展開されています。しかし一方では世界的な資源の無駄遣いに疑問の声も上がっています。
「ブラックフライデー」は消費大国アメリカ生まれ、世界中に広まる
「ブラックフライデー」は感謝祭(Thanksgiving)と呼ばれるアメリカの祝日(木曜日)の翌日の金曜日から週末にかけて行われる、アメリカ生まれのバーゲンセールの名称ですが、数年前からヨーロッパにも上陸し、フランスでも年々、認知度が高まっています。消費大国アメリカでは小売業界の売上が最も高い日とされており、この日を境にクリスマス商戦が繰り広げられます。
フランスで2016年ごろから急速に増えた「ブラックフライデー」セールの実績を、正確に把握するのは難しいです。しかし、2013年~2018年の間に売上が134%伸びたと発表するオンラインサイトもあるなど、フランスでも勢いを増していることは間違いありません。
フランスE-コマース及び通信販売協会Fevad (Fédération du e-commerce et de la vente à distance)の発表によると、2017年は前年比で売上が36%増、そして今年のこの期間の総売り上げは、13億ユーロ(約1669億円、1EUR=127.84円)と予想されています。
「ブラックフライデー」というキーワードがGoogleで検索された回数は、毎年倍に増えています。今年もすでにセールスタートの前日の時点で、昨年の検索回数の60%を越えています。
「ブラックフライデー」は環境にとって「暗黒の日」
「ブラックフライデー」が年々盛り上がる一方、こういった大規模なバーゲンセールによる大量消費に反対する「グリーンフライデー(Green Friday)」が昨年生まれ、今年も活動を広げています。その一環として、すでに150の中小企業や小売店が賛同し、「ブラックフライデー」のセールを行わないことを表明して、「何も売らない」と本日サイトを閉じているオンラインサイトもあります。
非営利団体グリーンフライデー(Green Friday)とリサイクルや中古品の修理販売を行う企業連盟Envieの代表アネモヌ・べレス(Anémone Bérès)氏は、Libération紙のインタビューに答え、「ブラックフライデーのような無責任な大量消費を促す新しい習慣に警鐘を鳴らすため、昨年2017年にグリーンフライデー活動を開始した」とその動機を説明しています。
氏はまた「過剰消費は過剰生産を生み、限られた資源を貪ります。私たちはブラックフライデーの機会に、別の消費(もしくは消費しない)方法があることを多くの人に知ってもらいたい」と、このセール時期に人々への意識改革を訴え、衝動的な買い物をする代わりに「壊れたら捨てる」から「修理して使う」、新品ではなく中古を買う、地産地消などを奨励しています。
Envieに加盟する非営利団体Emaüs(リサイクル品を修理販売、失業者の社会復帰支援)は、本日、フランス各地で« Do It Yourself 100% récup’ »(100%リサイクルでDIY)という手作りワークショップを開催しています。
執筆:マダム・カトウ