11月16日(金)、フランスのスポーツ大臣(Ministre des Sports)のロクサナ・マラシネアヌ(Roxana Maracineanu)氏は、2019年3月1日に「スポーツ機構(Agence du sport、仮訳)」を設立すると発表しました。
設立の目的は、2024年にパリで開催予定のオリンピック・パラリンピック競技大会(Jeux Olympiques et Paralympiques)に向け、スポーツ選手との連携を深めるためです。
2024年のパリ五輪に向けて
2024年の大会をパリ市が主催することが決まったのは、2017年9月です。パリ市は1914年に第8回オリンピック競技大会を主催しており、ほぼ1世紀ぶりの開催地として返り咲くために、スポーツやオリンピックの価値観だけでなく、フランス独自の魅力やイノベーション、国際オリンピック委員会(IOC)の公用語の一つであるフランス語の力をアピールしました。
招致運動には、政府だけでなく企業やNGO(非政府組織)、市民らが一丸となり取り組んできました。
今回設立されるスポーツ機構にも、政府や地方自治体、企業などが協力し、1世紀ぶりの国際大会に向け準備を加速させています。
スポーツ振興を担うジャン・カステクス氏が代表
責任者を務めるのは、2018年1月からパリオリンピック政府間代表委員会(Délégué interministériel aux Jeux Olympiques et Paralympiques)のメンバーである、ジャン・カステクス(Jean Castex)氏です。
カステクス氏は任命されて以来、2018年9月に初めてパリで行われたゴルフの国際大会「ライダー・カップ」(Ryder Cup)を成功させるなどの実績を残しています。また、2019年6月に開催予定である女子サッカーの国際大会「FIFA女子ワールドカップ」(Coupe du Monde Féminine de la FIFA)に向けても尽力しています。
また、カステクス氏はニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前大統領の政権下で副国務大臣を務めるなど、政界の重鎮でもあります。
カステクス氏が率いる新たなスポーツ機構の設立には、2024年に向けたリーダーシップを取ることはもちろん、フランスにおけるスポーツ分野の振興を支えるという普遍的な役目も期待されています。
予算規模は3億5000万ユーロ
スポーツ機構の設立や事業につぎ込まれる予定の予算額は3億5000万ユーロ(およそ450億円/1ユーロ:128円で換算)です。
(日本のスポーツ庁の2016年度予算は323億円。2020年東京オリンピックやスポーツ振興等の費用を含む。)
スポーツ機構には今後、経済界など民間からの投資が加わり、予算規模は拡大する予定です。既存のスポーツ省とは独立して発足するスポーツ機構ですが、どのようにフランス政府と民間をつないでいくのでしょうか。
執筆あお