11月7日(木)、フランス映画「男と女」(Un homme et une femme)の主題歌の作曲家として有名なフランシス・レイ氏(Francis Lai)が、86歳で亡くなったと発表されました。
あの「ダバダバダ・・」の作曲者
フランスの映画音楽の第一人者であり、多くの映画監督や歌手にとっても忘れられない作曲家フランシス・レイ氏が86歳で亡くなりました。
この偉大な作曲家の出生地であるニースのクリスチャン・エストロシ(Christian Estrosi)市長は、ニース市を代表する場所の名称に「フランシス・レイ」の名前をつけることを検討していると、遺族に提案しています。
1966年「男と女」で一躍有名に
庭師の息子だったフランシス・レイ氏は、1965年に、俳優であり作曲家でもあるピエール・バルー氏(Pierre Barouh)の紹介で、映画監督クロード・ルルーシュ(Claude Lelouch)と出会いました。ルルーシュ監督はレイ氏がバルー氏と共作した「あらがえないもの」(L’amour est bien plus fort que nous)をとても気に入り、自分の次の映画「男と女」(Un homme et une femme)で彼を、使うことにしました。
映画「男と女」は1966年にカンヌ映画祭でグランプリ(パルムドール)を受賞し、その主題歌を作曲したレイ氏は一躍有名になりました。アカデミー賞にもノミネートされますが、受賞にはいたりませんでした。しかし、1971年にアメリカ映画「ある愛の詩」(LOVE STORY)で作曲賞を受賞し、フランシス・レイ氏の名前が国際的に有名になりました。
その後、ルルーシュ監督の33本の映画に曲を提供しています。ルルーシュ監督の映画音楽を手がける理由として「監督は実に細部にわたって映画のストーリーを語ってくれるので、その情景が目に浮かびます。そうすると自由に作曲できるんです」と語っていました。
映画監督クロード・ルルーシュとは「一番気が合う」コンビ
フェデリコ・フェリー二(Federico Fellini)監督(代表作:「甘い生活」La dolce vita)とニーノ・ロータ氏(Nino Rota)(代表作:「ロミオとジュリエット」、とジャック・ドゥミ(Jacques Demy)監督(代表作:「シェールブールの雨傘」Parapluies de Cherbourg「ベルサイユのバラ」Lady Oscar)とミッシェル・ルグラン氏(Michel Legrand)のように、偉大な映画監督には偉大な映画音楽の作曲家が付き物です。
フランシス・レイ氏はクロード・ルルーシ監督と「一番気が合う」とコンビを組みますが、そのほかにもルネ・クレマン(René Clément)監督(代表作:「太陽がいっぱい」Plein Soleil)など、フランス映画界を代表する数々の映画監督に曲を依頼されています。
歌曲が得意、「自転車乗り」、「愛と悲しみのボレロ」など
フランシス・レイ氏自身は、インストゥルメンタル(歌の入らない、楽器の演奏だけの楽曲)より歌曲を好んで作っていました。でも映画音楽の依頼が多いためか、歌曲の作曲に集中できない事が悩みの種だったようです。レイ氏の作品で最も有名な歌曲は、盟友ピエール・バルー氏の作詞による、イヴ・モンタン(Yves Montand)の「自転車乗り」(À bicyclette)でしょう。
レイ氏のお気に入りの歌手は、ミッシェル・ルグラン氏との共作「愛と悲しみのボレロ」(Les Uns et les Autres)を歌った二コール・クロワジール(Nicole Croisille)でしたが、そのほかエディット・ピアフ(「愛する権利」Droit d’aimer)、ミレイユ・マチュー(Mireille Mathieu)などフランスを代表する歌手にも楽曲を提供しています。
2016年4月には「男と女」50周年記念でレイ氏の作品を集めたCD7枚セットが発売されています。
フランシス・レイ氏の代表作
- 男と女 Un homme et une femme(1966年)
- パリのめぐり逢い Vivre pour vivre(1967年)
- 個人教授 La Leçon particulière(1968年)
- うたかたの恋 Mayerling(1968年)
- 白い恋人たち/グルノーブルの13日 13 jours en France(1968年)
- あの愛をふたたび Un homme qui me plaît(1969年)
- 雨の訪問者 Le Passager de la pluie(1969年)
- 脱走山脈 Hannibal Brooks (1969年)
- ある愛の詩 Love Story(1970年)
- 狼は天使の匂い La Course du lièvre à travers les champs(1972年)
- 男と女の詩 La Bonne année(1973年)
- 続エマニエル夫人 Emmanuelle 2(1975年)
- 追悼のメロディ Le Corps de mon ennemi(1976年)
- ビリティス Bilitis(1978年)
- 愛と哀しみのボレロ Les Uns et les autres(1981年)
- 聖女伝説(1985年) – 村川透監督作品
- 男と女II Un homme et une femme, 20 ans déjà”(1986年)
- 黒い瞳 Oci ciornie(1987年)
- ラッコ物語(1987年) – 永田貴士監督作品
- 美しすぎて Trop belle pour toi(1989年)
- レ・ミゼラブル Les Misérables(1995年)
- 男と女、嘘つきな関係 Hommes, femmes, mode d’emploi(1996年)
- しあわせ Hasards ou coïncidences(1998年)
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執筆:マダム・カトウ