先週の予告どおり、3月22日(木)にフランス国鉄はストライキに突入しました。さらに組合の呼びかけで、国鉄職員のみならず、教員、幼稚園、病院関係者、管制塔職員など一部の公務員もストライキに入っています。
ブラックサーズデー
交通関係者の大きなストライキにより、フランスの陸空のダイヤは大幅に乱れています。
フランス国鉄の運行状況
・TGV 5本に2本運行
・TRANSILIEN 2本に1本のみ運行
・TER 3本に1本が運行
また、RERと呼ばれるパリ・イル・ド・フランスの郊外列車は全体の30~40%のみ運行で通勤客の足を奪っています。
パリ地下鉄(RATP)は地下鉄、バスともにほぼ正常運行しています。とはいえ、デモの影響で一部バスは路線変更、ラッシュアワー時は遅延などで大混雑しています。
管制塔のストライキの影響(全航空会社対象)
・シャルルドゴール空港の発着便の 30%がキャンセル
・オルリー空港発着便の 30%がキャンセル
キャンセルの対象になっているのは、国内線などの短距離、ヨーロッパ線などの中距離で、日本行きなど長距離線は今回は対象外ですが、遅延などが予想されます。
パリ空港公団のサイト:
http://www.parisaeroport.fr/passagers/les-vols/vols-depart
エールフランスも今回の影響で減便を強いられていますが、明日3月23日(金)およびイースター休暇の出発がもっとも多い、3月30日(金)には自社のストが予告されています。
理想と現実のギャップ
ストライキにより学校や幼稚園が閉まって、子供を預けられず会社を休む人、通勤時間が普段の2倍かかる人など、困るのは常に一般市民ですが、TVなどの報道によると、この状況下でもフランス国民の48%はこのストライキに理解を示しています。
今回の改革の争点は「鉄道員」の特権の段階的な廃止です。(詳しくは3月19日の記事をご覧ください。)そして74%の人は一連の政府の改革は公平ではないとして不満を表しています。
マクロン大統領の当選直後は、フランスには抜本的な改革が必要という風潮がありました。しかし、今年試行された改革では、給与所得者の社会保障費用を下げる一方で、年金受給者なども払うCSG(contribution sociale généralisée)と呼ばれる別の社会保障費用が値上げされました。働く人の待遇改善を謳いましたが、社会的弱者を犠牲にする改革と非難を浴びています。
本日フランス140ヶ所で大きなデモが行われ、パリ市内でも14時半からデモ行進、最後はバスティーユ広場にデモ隊が集結することになっています。
執筆:マダム・カトウ