フランスの有給休暇、5月末が消化期限 「強制取得」は合法なのか?

2026.05.26

2026年5月26日(火)、今年も5月末の有給休暇の消化期限が迫ってきました。余った有給を消化する人が多く、今月は夏休みやクリスマス時期についで、「担当者不在」が多い月でしょう。業務の都合で5月に取れない人もいるため、余った休暇は次年度に持ち越せるのか?フランスの労働法で事細かに決められている有給休暇のルールを、地元のメディアが解説しています。

 

フランスの有給休暇、取得年度は6月1日~5月31日

フランスの有給休暇は、週35時間労働のフルタイムの場合、1ヵ月働くごとに2.5日付与されます。パートタイム社員であっても、原則として付与される有給休暇の日数自体はフルタイム社員と同じです。ただし、実際の勤務日数や勤務形態によります。

有給休暇の管理年度は、一般的に6月1日から翌年の5月31日までとなっています。

例えば、3月1日に入社した場合、同年5月31日までに2.5日×3=7.5日の有給を消化することになります。

入社したばかりでもう休暇がとれるのか?と不思議に思いますが、法律上は権利が発生し、ルール上は有給休暇の年度末までに消化することなります。

ただし近年は、企業や業種によっては、会計年度や人事システムに合わせて「1月~12月」など別の管理期間を採用するケースもあります。労働協約や企業協定によって変更可能です。

 

労働法で事細かに決められた、フランスの有給休暇のルール

業種別労働協定(Convention collective)、企業内協定によってこれより有利な条件が定められている場合を除き、基本的にはフルタイム、パートタイム、無期限、有期限といった雇用形態を問わず、原則として年5週間の有給休暇があります。

さらに雇用主は、5週間の有給休暇のうち最低でも連続2週間については、原則として5月から10月末までの間に取得させなければなりません。

そのため、学校の夏休みを含む、いわゆる旅行の「ハイシーズン」に休暇を取得することも一般的であり、雇用主は企業運営上の必要性を考慮しつつ、従業員の希望を尊重することが求められます。

繁忙期でも夏休み取得、雇用主は臨時雇い探しに奔走

このように、フランスでは夏季に長期休暇を取得することが一般的であるため、季節性の高い業種や地域では、人員確保が重要な課題となります。

特に、ビーチリゾートや観光地のホテル、レストランなどの観光業では、繁忙期の夏休みに臨時雇いの従業員を募集する光景がよく見られます。これは、観光シーズンによる来客増に対応するためだけでなく、子どものいる正社員が夏休みを取得することによる欠員を補う目的もあるのです。

 

労働者優利の有給休暇でも、未消化有給、次年度への繰り越しはなし

雇用主が労働法や労働協約の規定を順守したうえで、社員に有給休暇の取得を指示した場合、社員は原則としてこれを拒否することはできません。

一方、無給休暇については、雇用主が取得を強制する権利はありません。

また、原則として、年度内に取得しなかった有給休暇は次年度へ繰り越すことができず、未取得分は失効します。そのため、未消化の有給休暇日数は給与明細上からも消えるのが一般的です。ただし、会社側の事情で取得できなかった場合などには、例外的に繰り越しが認められることもあります。

中小企業の場合など、社員の都合でも雇用主との話し合いで繰り越してもらうことはあります。

未消化有給休暇の買取、あるとしたら退職時だけ

有給休暇は、社員に十分な休息を与えることを目的としているため、年度末に残った有給休暇を買い取ることは、たとえ社員本人が希望した場合であっても、原則として認められていません。

例外なのは退職時です。

フランスの退職届は、一般社員は1か月前、管理職は3か月前までに書面で通知します。ただし、通知期間は業種別労働協約や雇用契約によって異なります。退職日が決まると、残っている有給休暇を退職日までに消化させるのが一般的です。

企業側の事情で有給休暇を消化できない場合には、未消化分に対して補償手当が支払われます。そのため、実務上は退職日までに有給休暇をすべて消化させるケースがほとんどです。

 

みんな一斉に夏休み、日付が重なったらどうなる?

フランスでは、夏休みなど、社員の間で有給休暇取得の希望日が重なることが多い場合の対応もルールで決まっています。

労働法、業種別労働協定、もしくは企業内の労働協定により、下記のような内容を踏まえて決定します。

優先されるのは

・勤続年数が長い
・家庭の事情
・家族、パートナーの休暇の都合
・ハンディキャップ、介護が必要な家族の有無
・夫婦や家族が同じ企業で働く場合、同じ期間に有給を与える
・就学している子供の有無

独身者で特に家庭の事情がない場合、夏休みの期間は子供のいる同僚たちが優先されるため、6月や8月後半、あるいは、新学期の9月に取得する人もよく見られます。

ピークシーズンを避けて「安く旅行できる」と積極的に夏休みシーズンを避ける人もいれば、一度は「真夏にビーチに行ってみたい」と嘆く人もいます。

出典:20minutes

執筆:マダム・カトウ

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