2025年ゴンクール賞、ローラン・モーヴィニエ『La maison vide』が受賞

2025.11.04

フランス ゴンクール賞2025年11月4日(月)13時、今年のゴンクール賞(Prix Goncourt)に、ローラン・モーヴィニエ(Laurent Mauvignier)作、『空虚な家』(仮題)(”La maison vide”)が選ばれました。フランスの文学賞の最高峰であるこの賞、どのように選ばれ、受賞するとどうなるでしょうか?地元メディアを賑わせています。

 

最終選考に残った4作は?

最終選考に残った4冊のうち以下の3冊は、フランス文学界ではすでに数か月前から、今年のゴンクール賞有力候補と注目されていました。

ノミネート作品:

・ナターシャ・アッパーナ(Nathacha Appanah)作、夫から家庭内暴力を受けた3人の女性のうち、唯一生き延びた一人がその運命を語った、『心の夜』(仮題)(”La nuit au cœur”)

・エマニュエル・キャレール(Emmanuel Carrère)作、人生をソ連及びロシア研究にささげた実母を題材にした、『コルホーズ』(仮題)(”Kolkhoze” )、

・受賞が決まったローラン・モーヴィニエ(Laurent Mauvignier)作、20世紀初頭、3世代にわたる家族模様を描いた750ページにおよぶ大作、『空虚な家』(仮題)(”La maison vide”)

そして、ダークホース的に最終選考に残ったもう一冊は、

・ベルジュ・キャロリーヌ・ラマルシュ(Belge Caroline Lamarche)作、夫がゲイだとわかった女性の人生をつづった『美しい闇』(仮題)(”Le bel obscure”)です。

2025年、どの本が受賞してもおかしくない

賞の選考委員会であるゴンクール・アカデミーの会長で、作家、映画監督のフィリップ・クローデル(Philippe Claudel)氏は、「今年は圧倒的に抜きんでた一作というのがない」とコメントしており、選考会の議論は白熱すると予想されていました。

昨年受賞したカメル・ダウード(Kamel Daoud)作の『ウーリス』(ウーリス=イスラム教の楽園の乙女の意、日本未発売、仮題)(”Houris”)は、早くから最有力候補とされていました。

 

ゴンクール賞の選考、どのようにおこなわれる?

ゴンクール・アカデミーの審査員10名は、毎月第一火曜日(夏休み期間を除く)に、パリのオペラ大通り近くのレストラン「ドルーアン」(Drouant)の二階にあるゴンクールの間(salon Goncourt)に集まり、クローデル会長と共に、まずは何百冊という作品のなかから授賞候補となる作品を選びます。

作家からなる審査員は、クリスティーヌ・アンゴ(Christine Angot)、ピエール・アスリーヌ(Pierre Assouline)、タハール・ベン・ジェルーン(Tahar Ben Jelloun)、パスカル・ブリュックネール(Pascal Bruckner)、フランソワーズ・シャンデルナゴール(Françoise Chandernagor)、ポール・コンスタン(Paule Constant)、ディディエ・ドゥコワン(Didier Decoin)、カミーユ・ロランス(Camille Laurens)、エリック=エマニュエル・シュミット(Eric-Emmanuel Schmitt)で、審査の公平性を保つため、出版社で有償の仕事を受けることが禁止されています。

 

ゴンクール賞の賞金、たったの10ユーロ

この名誉ある賞、多額の賞金がもらえるかと思いきや、実はその額10ユーロ(約1,770円/1ユーロ=約177円)、高いものだと15,000ユーロ(約265万円)にも上るフランスの文学賞の中で、ゴンクール賞は最も額が低い賞の一つです。

そのため、受賞者は受け取ったお札を額にいれて飾っているようです。

ゴンクール受賞作品:クリスマスプレゼントとして「最も選ばれる本」

賞金はないに等しいですが、受賞すると、その数時間後には、「2025年ゴンクール受賞作品」の赤い帯紙を付けて、全国の書店に出荷されます。

受賞作品は販売冊数が劇的に伸びることがほぼ間違いありません。

近年、最も売れたのは2020年の『異常【アノマリ】』(”L’Anomalie”)エルヴェ・ル・テリエ(Hervé Le Tellier)作、2023年の『ヴェイエ・シュール・エル』(”Veiller sur elle” )ジャン=バティスト・アンドレア(Jean-Baptiste Andréa)作の二作品で、それぞれ販売数が50万冊を超えています。

発表が11月第一週と、巷もクリスマスモードに入る時期と重なり、ゴンクール賞受賞作品は、クリスマスギフトとして高い人気を誇り、出版社にとっても非常に重要な賞となります。

読書の秋、この機会にぜひ原作にチャレンジしてみませんか?

執筆:マダム・カトウ

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