どこまで進んだ、パリ・ノートルダム寺院の再建

2023.09.26

ノートルダム寺院2023年9月時点中央部分に尖塔がない、パリ・ノートルダム寺院 2023年9月12日現在(筆者撮影)

2023年9月26日(火)、2019年4月15日に発生した大規模な火災により尖塔が崩落、屋根の3分の2が焼失するなど大きく破損したパリ・ノートルダム寺院の再建工事が進み、今年の夏にはいよいよ尖塔部分の再建に着手しています。年内には寺院のシンボルともいえる尖塔が再び見られそうです。

 

2024年12月再開に向け、尖塔、内陣など「目に見える部分」に着手

パリ市民および世界中の人々に衝撃をもたらした、ノートルダム寺院の火災ですが、マクロン大統領はその直後のスピーチで「5年で再建する」と宣言していました。

あれから4年が経過、ようやく尖塔部分の再建が始まっています。

火災発生当時、老朽化のため修復中だったことから、足場に使われた膨大な数の鉄パイプなどが熱で溶け落ちており、加えてさまざまな建材、特に現在使用が禁止されている鉛や工事用ケーブルなどから出た有害ガスの発生もあり、焼けた残骸の撤去が難航しました。

火災から数ヶ月後に開始された再建のうち最初の2年間は現場の検証、安全確保、資料集め、再建プランの検討に費やされ、世界中の建築家への再建案募集、入札を経て、現在工事は15ヶ月後に迫った2024年12月8日の再オープンに向け、クライマックスを迎えています。

再建工事開始後も長期にわたり「パリ市民のシンボル」はおびただしい数の足場に囲われた痛々しい姿でしたが、現在骨組み、翼廊(十字形の教会堂の左右に突き出した部分)、身廊(信徒が着席する部分)、チャペル内陣(祭壇のある奥の円形部分)の再建が行われており、これらも尖塔と同様、年内に完成する予定になっています。

これらの部分が完成すると、寺院が以前の姿に近づいてきたことが目に見えてわかるようになります。

ヴォールト(英vault仏voûte)と呼ばれる天井までかまぼこ型に突き出したアーチの上の部分が完成、これを設置するため、中世のデッサンをもとに作られた天井を支えるオーク材製の骨格の組み立てが開始されました。

教会内の左右に張り出した翼廊の骨格部分は、19世紀に描かれたデッサンを元に復元されましたが、長さがあるため、製作した場所からセーヌ川を利用して船で運ばれました。

フランス中から、選りすぐりの修復家たちを集め

今年の8月には、教会内部の汚れ落としや木工細工、崩壊したヴォールトなどの修復が開始されています。

内装工事だけで、フランス全国から歴史建造物専門の企業および、腕のいい石細工師、壁画修復家、屋根葺き職人、鉄鋼細工師、彫刻復元家、大工などが結集しています。

現在、礼拝堂の14世紀彫刻の傑作、および聖具室は修復が完成しています。

 

この冬、ノートルダム寺院の尖塔がパリの空に再び

尖塔は18世紀に建築家ヴィオレ・ル・デュック(Eugène Emmanuel Viollet-le-Duc)が再建した時に作られた物と全く同じものに復元されました。

先月より、66メートルの尖塔を設置する準備として、高さ100メートルの鉄パイプでできた総重量約600キロの足場の組み立て作業が開始されています。

木でできた柱身の部分の再建はこの10月にも開始され、その後2階部分を追加し、最後に尖塔が設置されます。

この冬には尖塔がパリの空から市民を再び見守ることになるでしょう。

執筆:マダム・カトウ

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