フランス 11月から何が変わる

2025.10.31

2025年10月31日(金)、先週末に冬時間に移行したフランスでは、11月1日より、電気代が安い時間帯、賃貸アパートの不法占拠者の退去に関するルールなどが変更になります。

 

電気代が安いオフピーク時間帯、深夜早朝から日中へ

11月1日~3月31日まで、電気代の割引時間帯は、11時~17時、深夜は23時~7時までとなります。4月1日~本日10月31日までの間は7時~11時、17時~23時でした。

割引時間帯が日中になったのは、テレワークの普及により、勤務中のこの時間帯に家で電気を食う洗濯機を回すことができる人が増えたこともありますが、最大の理由は、フランスにおける太陽光発電の供給量が増えたことにあります。

電力は蓄積できないため、太陽光発電の供給量が最も多い時間帯に割引を設定しています。

時間帯は契約している電力会社による

各電力会社は、この時間帯の中から日中3時間、夜間5時間の合計1日8時間の割引時間帯を契約者に提供する義務があります。そのため時間帯は契約している会社により異なること、また、「割引料金を適用する」契約をしている必要があります。

フランス全国で割引時間帯の対象になっているのは1,100万世帯に上ります。

実は、オフピーク契約で電力会社が採算を確保するためには、契約者が使用する電力のうち少なくとも30%以上をこの割引時間帯に利用してもらう必要があります。

逆にこの時間帯の利用が少なく、採算が合わなくなると、電力会社は割引時間外の料金を大幅に上げる可能性があります。

 

賃貸アパートの強制退去、休止期間に突入

家賃の滞納、他の住民への迷惑行為、及びアパート内のルール違反などの理由で、家主が入居者を立ち退きさせるケースがありますが、11月1日~3月31日までは休止期間として、強制退去は禁止となります。

理由は、冬は気候が厳しいことから、家賃が払えない社会的弱者への配慮によるものです。

したがって、この期間は、家賃が未払いでも、入居者を追い出すことはできません。

実はこの入居者を守る法律は1956年から存在します。その後改定が重ねられ、現行のものは、「住居を得る権利」とした2014年の「アリュール法」(« loi Alur »)に基づいています。

但し、大家さんにとってはいささか理不尽なこの法律にも例外があります。

増え続ける不法占拠者、冬でも強制退去が可能に

まず、入居者が別の住居を確保できる場合、家庭裁判所により「別居調整不成立」または「保護命令」により命じた場合、そして入居者が「スクワット(squat)」、つまり不法占拠をしている場合です。

このスクワットのケースも以前は冬の休止期間の対象になっていましたが、今年1月1日より、より厳しくなった「反スクワット法」(”Loi anti squat 2025″)が施行された結果、1年を通して強制退去が可能になりました。

家屋やアパートの不法占拠は増え続ける一方で、2024年は前年比で34%も増えたというデータもあり、国は対策を強化しています。

 

銀行口座名義人が死亡した場合の口座閉鎖手数料、上限設定へ

これまで銀行が独自に設定していた死者の口座閉鎖手数料は、11月13日より上限が設定されます。これにより、合計残高の1%まで、最高850ユーロ(約151,000円/1ユーロ=178円)に設定されました。

銀行手数料は上がる一方で、上昇率はインフレ率よりも高くなっています。

 

スポーツにおける暴力行為、壊滅にむけ最初の一歩

11月19日から、公共、民間にかかわらず、スポーツ活動を行う場において、活動中に暴力行為を受けた場合、目撃した場合の通報に関する公示を、会員のだれもが見れる場所に掲示することが義務となります。

対象は「身体への暴力」、「セクハラ」、「モラルハラスメント」で、行為を受けた、もしくは目撃した人は、sports@sports.gouv.frにメールで通報することができます。

58%が何らかのハラスメントを経験

2024年に全国のスポーツクラブで行った調査で、フランスでスポーツを行う人の実に58%が、少なくとも一度は暴力行為か精神的ハラスメント、セクハラを受けたことがあると回答しています。

ほとんどのケースは、行為を行ったのはコーチや監督で、チームメイトからのいじめ行為も含まれています。

暴力行為の中で最も多いのは、モラルハラスメント、つまり「言葉の暴力」で、全体の46%を占めています。

調査ではまた、男性は身体的暴力を受け、女性は怪我をしているのにトレーニングを続行するといった「強制行為」、およびセクハラを受けているケースが多いことが明らかになっています。

スポーツ団体に認識の低さ、実態は未知数

この調査は、フランス全国22,000のスポーツクラブに依頼されましたが、回答したのはわずか793団体、回答者数は約2,200人でした。

そのため、スポーツにおける暴力被害の数はさらに多いと予想されます。特に若年層は、コーチに怒鳴り散らされるのが「当たり前」と理解している可能性もあり、政府は対策に乗り出しています。

執筆:マダム・カトウ

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