フランス 観光地のレストランが悲鳴 バカンスでも財布の紐固く

2025.08.12

2025年8月12日(火)、夏のバカンスのピークシーズンに突入したフランス、観光地には多くのバカンス客が訪れていますが、今年はバカンス客のお金の使い方に変化があらわれています。インフレの影響で現地で使う予算が絞られ、宿泊費はもとより食費も削られているようです。例年、バカンス客で大忙しのレストランには空席が目立ち、さらにオーダーも節約モードになっています。

 

キャンプ場、クーラー付きのコテージよりテントが人気

フランス人のバカンス形態としてもっとも人気があるキャンプ、近年「モビローム」(mobil-home)と呼ばれる、キッチン、バスルーム、ベッドルームなどが完備されたコテージが特に人気で、7月~8月の予約はすぐに満室になっていました。

ところが、このキャンプ場の予約に異変が起きています。

というのも、今年は場所だけ借りて自分でテントを張る、「キャンプサイトのみ」という最も安いプランに人気が集まっているのです。

南仏、モンペリエ(Montpellier)から車で50分ほど、ガール県(Gard)にあるキャンプ場、「ル・マス・ドゥ・ムルグ」(”Le mas de Mourgues”)の部長、パスカル・カラッソ(Pascale Carasso)氏は、今年は最も高いクーラー完備の「プレミアム・モビローム」の予約を埋めるのに、「割引キャンペーン」を行う必要があった、と述べています。

家族6人でキャンプに来たというクレール(Claire)さんは「モビロームを1週間借りることもできましたが、テントなら同じ金額で2週間過ごせるので」と、今年はキャンプサイトのみのレンタルにしました。

フランス野外宿泊業連盟(fédération de l’hôtellerie plein air)によると、この傾向は全国的なもので、今年はモビロームの半額程度で借りれるキャンプサイトのみとキャンピングカーサイトの予約が大幅増になっています。

 

空席目立つレストラン、2人一皿、テイクアウト、ピクニック

1年間一生懸命働いてバカンス費用をためるフランス人ですが、バカンス先では「普段よりちょっと贅沢をする」、というのが恒例になっていました。

しかしながら、今年はこの点でも異変が起きています。

キャンプ場では、バーベキューをしたり、スーパーで買った食品をモビロームのキッチンで自炊しますが、多くの人は週に何回かはレストランで食事をしていました。

ところが、今年は物価高で特に食料品の価格が値上がりし、その分レストランで使う予算が減らされているようです。

夏のピークシーズンにレストランのテラス席がガラガラ

フランス各地の観光地では、レストランに行く回数を減らし、ピクニックやテイクアウトで済ませたりする人が増えています。

さらに、レストランで食事するときも、「アントレ、プラ、デセール」(entrée, plat, dessert)、つまり、「前菜・メインディッシュ・デザート」といったセットメニューは避けられ、単品でメインディッシュしか注文しないことが常態化しています。

また、2人でメインディッシュを一皿とって分けたりする人も増えるなど、出費をできるだけ抑えようとする傾向が顕著になっています。

「テイクアウトが増えています」という、ガール県にあるレストラン「モーリス」(”Maurice”)のオーナー、フィリップ・ヌガレ(Philippe Nougaret)氏は、「ほかで買ったいくつかの軽食と合わせ、皆で分け合って食べて食費を節約しているようです」と述べています。

同氏は、年間で最も稼ぎ時の繁忙期にも関わらず、昨年より30%の売り上げ減になっていると嘆いています。

ランチタイムにビーチに行くと、観光客がピクニックをしています。

その一人、ファティマ(Fatima)さんは、「以前はレストランに行ったりしていましたが、なるべく行かないようにしています」と今年は節約モードです。

中には、一日に使える予算を現金で封筒にいれ、毎日その金額以上は使わないようにしている人もいます。

レストラン業界はこの夏、苦戦を強いられそうです。

執筆:マダム・カトウ

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