2025年3月4日(火)、昨年、世界中を熱狂させたパリ五輪ですが、終了から半年たった今、アスリートたちが獲得したメダルの塗装が剥げるなど「不良品」が相次いで発覚しています。パリ造幣局(Monnaie de Paris)によると、現在までで220個分の苦情が寄せられ、無償交換が行われています。
全メダルの4%が不良品、特に銅メダルに問題
パリ五輪メダルの不良品問題が本格的に報じられ始めたのは今年1月で、この時点でメディアで取り上げられていたのは約100個ほどでしたが、パリ造幣局にはこれまでに220件の苦情が世界中のアスリートから寄せられています。
同局が昨年のオリンピック、パラリンピックのために納品したメダルは計5083個あり、そのうちの約4%にあたるメダルが不良品として修理や交換を求められています。局はアスリートに対し無償交換を呼び掛けており、今後さらにその数が増える可能性があります。
同局の対応はさておき、そもそも原因はなんなのか、また交換されたメダルには問題はないのかが気になるところです。
ブロンズのコーティングがはげ落ち
問題になっているメダルのほとんどは「銅メダル」で、ブロンズのコーティングが劣化したかのようにはげ落ちています。
最初の苦情がよせられたのは昨年8月で、アメリカのスケートボード選手ナイジャ・ヒューストン(Nyjah Huston)さんでした。彼は7月29日に受賞したメダルが「不良品」だとして8月上旬にオリンピック協会に苦情を申し立てています。
1924年のメダル?仏メダリストがSNSで揶揄
メダルラッシュで地元を沸かせたフランス水泳チームですが、そのメンバーの一人で、競泳男子4X100mメドレーリレーで銅メダルを獲得したヨアン・ヌドイエ=ブルアール選手は、ブロンズがはげ落ちたメダルの写真を「パリ五輪1924年大会」と名付けてXに投稿しました。
😭😭 Paris 1924 pic.twitter.com/WzfoV3ECQt
— Yohann Ndoye Brouard (@yohann_2911) December 28, 2024
パリ造幣局、年間6万個の各種メダルを製造
「劣化」と呼ぶにはあまりにも早すぎますが、パリ造幣局はこれらのメダルを「不良品」ではなく「破損」と呼び、その原因を追究するとともに製造工程の見直しを行っています。
交換された新しいメダルについて、同局はブロンズの剥げ落ちを防ぐ「コーティングが強化されている」と説明しています。
パリ造幣局は年間6万個もの様々なメダルをパリ中に点在するアトリエで製造しています。
デザインはショーメ社
パリ五輪のメダルはLVMHグループ傘下のショーメ社(maison Chaumet)がデザインを手がけ、パリ造幣局が製造しています。
また、メダルには小さなエッフェル塔が埋め込まれていますが、これはエッフェル塔の運営会社の在庫を活用したものです。
一連の不良品問題をうけ、地元メディアは「交換したメダルが、2028年のロス五輪まで皴一つつきませんように」と皮肉たっぷりに報じています。
執筆:マダム・カトウ