フランス カードのタッチ決済 来年から「金額上限なし」は安全か

2024.10.11

2024年10月11日(金)、フランスでクレジット、デビットカードを利用してタッチ決済できるのは50ユーロ(約8,100円/1ユーロ=約162円)まで、と支払額に上限が設定されています。「カードを挿入してコードを入れてください」と言われ海外からの観光客が驚くように、他国にくらべ決して高くないこの上限の撤廃がフランスの銀行間で進められています。

 

フランスのカード決済、半分がタッチ決済

昨年フランスで行われたカード決済の利用回数は150憶回、うちタッチ決済は70憶回でした。

金額にして1,160憶ユーロ(約18兆9000億円)が、NFC (Near Field Communication:英語)と呼ばれる近距離無線通信技術を利用して決済されました。

タッチ決済導入から12年、コロナで一般化も転機

フランスでタッチ決済が導入されたのは2012年、少額の決済に限りコードを入力しなくていい便利な決済方法としてサービスが開始され、当時の決済額上限は20ユーロ(約3,200円)でした。

5年後の2017年に30ユーロ(約4,900円)にひき上げられましたが、コードなしの決済には懐疑的な意見も根強かったものの、コロナ禍の2020年、暗証番号の入力による接触回避奨励のため、上限が50ユーロ(約8,100円)に引き上げられると急激に広まり一般化しました。

さらに、基本的には利用金額に上限のないスマホによるタッチ決済が普及しはじめたことから、銀行もカード利用者に同じような便宜を図るため、先述のNFC技術を改良した「タッチ決済プリュス」(paiement “sans contact plus”)機能が開発されました。

タッチ決済なのに暗証番号、どうやる?

LCL銀行の担当者によると、「(新決済機能が導入されれば)50ユーロを超え、カード名義人のカード決済上限額まで」決済することができるようになります。

もし盗難に遭ったら「暗証番号なしでジャンジャン使えるのではないか?」と思いたくなりますが、50ユーロを超える額の場合は、カードをTPE(terminal de paiement électronique)と呼ばれるクレジット端末機にかざしながら、暗証番号を入力します。

便宜をはかりつつ盗難対策も強化

特記すべきは、50ユーロ未満の少額決済でも同じ日に何度も続けて利用した場合、その合計がある一定の金額に達すると、暗証番号の入力が要求されます。

カードを差し込む手間を省きつつも、高額の悪用がされないよう安全確保ができるという顧客にとっても店にとっても便利な仕組みですが、導入か否かは銀行ごとの判断にゆだねられています。

 

イタリア、スペイン、オランダではすでに導入進む

欧州他国ではすでに広範囲で利用されている上限なしのタッチ決済ですが、フランス銀行連盟(Fédération française bancaire)によると、フランスでも、昨年発行された決済用カードのほとんどが、すでに「タッチ決済プリュス」の機能を備えています。

ということはいつでも使えるようになるのかと思いたくなりますが、最大の難関は商店側の決済端末機のアップデートが必要なことです。

顧客のカードは対応済みだが、大手スーパーなど小売はほぼ未対応

LCL銀行によると、同行ではすでに2018年から新機能のついたカードに切り替えているものの、端末機のアップデートは今年2月にようやく開始されましたが、大手スーパーを含む大手小売り業者への導入は来年2025年からになっています。

BNPパリバ(Paribas)銀行は、1年以上前から顧客のカードは新機能対応になり、商店へのアップデートも同時に勧め、現在同行の端末機の約80%がアップデートされたと発表しています。また、昨年11月以降に導入された端末はすでに新機能対応機種になっています。

普及はこれから

クレディ・アグリコール(Crédit agricole)銀行は、「年初から」端末機のアップデートを開始していると述べています。

ちなみに同行が契約する端末機数は38万個、上限なしのタッチ決済がフランス中に普及するにはしばらく時間がかかりそうです。

執筆:マダム・カトウ

オンラインフランス語学校アンサンブルアンフランセは、プロの講師によるマンツーマンのスカイプレッスンが1回1500円~受講できます。いつでもどこでも手軽に受講できる利便性と生徒一人一人にカスタマイズされた質の高いレッスンが好評です。→フランス語無料スカイプ体験レッスンはこちら メールマガジンであなたのフランス語学習をサポートする情報をお届けします。フランス語メールレッスン

Classement