「マクロン大統領はクビ」フランス議会に極左が罷免案を本日提出

2024.09.17

2024年9月17日(火)、極左、不服従のフランス党(La France insoumise : LFI)は、本日マクロン大統領の罷免を要求する審議案を国民議会に提出しました。7月の国民議会選挙から2か月経過も内閣が成立しないフランス、極左は自ら推した首相が却下されたなどの理由で大統領をクビにしようと試み、議員および国民の支持を訴えています。

 

国民議会選の左派連合勝利を「無視」したマクロン大統領

7月7日の国民議会選の結果、過半数を取れた党は不在も577中193と最も多い議席を獲得した左派連合(NFP)は、37歳でパリ市高級官僚、財務部長のルシー・カステッツ(Lucie Castets)氏を首相候補に推しましたが、マクロン大統領は、極右、右派により内閣不信任案が提出され、すぐに内閣解散になることを理由に却下しました。

左派連合内の最大勢力である不服従のフランス党は、これに激怒し大統領の罷免を訴えています。

大統領の罷免、ハードル高く長い道のり

大統領を罷免にするには、まず第一段階の審議委員会で議案として正式に受理されるかどうかの承認を得る必要があります。

そのためには、左派連合のうち社会党議員3人の協力が必要になりますが、昨日、社会党は「反対はしない」と発表しており問題なく承認されるとみられています。

次に、共和国憲法法律委員会(la commission des Lois)に持ち込まれさらに検討されます。

第二段階の共和国憲法法律委員会が承認した場合でも、下院の国民議会の3分の2、さらに右派が過半数を占める上院、セナでも同様の賛成票を得なければなりません。

「権力は議会に」大統領の罷免にこだわる極左、社会党「国民優先」まとまらず

罷免に関して、そもそも左派連合内でも議員らは団結していません。不服従のフランス党が提出した新議案に賛成した党外議員は81人で、社会党議員136人の中でも意見が分かれています。

反対派の議員らは、大統領との闘いではなく「フランス国民の日常をより良くするための闘いを優先すべき」と主張しています。

社会党党首オリヴィエ・フォール(Olivier Faure)氏は、罷免要求が成立しなかった場合、マクロン大統領の「正当性を証明することになる」と反対していました。

不服従のフランス党は「権力は国民議会に」と国民の支持を募る署名活動を行い、現在35万件の署名を集めています。

 

バルニエ首相の任命で右派の支持は微妙

不服従のフランス党は、もし国民議会の与党以外のすべての議員が罷免に賛成票を投じれば、可決する可能性があると訴えていますが、マクロン大統領が右派共和党のバルニエ氏を首相に任命したことから、右派は賛成票を投じることに難色を示しています。極右国民連合党(Rassemblement National:RN)の幹部は「夢物語」と、可決する可能性が非常に低いという以外、正式な見解は発表していません。

過半数なきバルニエ首相、内閣形成は難航、各党との協力探る

首相が今月6日に発表されてからすでに10日以上が経過しましたが、同氏が過半数どころか46議席しかない共和党員であることから、閣僚選びは非常に困難な状況になっています。

首相は本日も左派連合に属する共産党首らとの会合を行っています。

執筆:マダム・カトウ

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