2024年5月24日(金)、フランスの中学生の「5人に一人が授業中にスマホを見ている」というアンケート結果が出るなど、教育の場でのスマホが問題視されています。学校でスマホを見ること自体は禁止されていますが、さらに一歩踏み込んで「学校でスマホを預かる」というアニエス・エヴレン(Agnès Evren)議員の法案をパリ市でいち早く適用させようとする動きがあります。
授業中に隠れスマホ
2018年の法律で、学校内でスマホの使用は禁止されています。しかしながら、現実的には授業中に隠れてスマホを見たり、休み時間に校庭で使用したりする生徒が後を絶ちません。
そのため、すでに一部の学校では自主的に行われている「スマホを専用ボックスに入れて預かる」仕組みを導入する必要があると、多くの学校が希望しています。
パリ市議会の保守派議員による「チェンジ・パリ」というグループは、メンバーの一人であるエヴレン議員の法案をパリ市内のすべての学校に義務付けるよう働きかけています。
SNSによるサイバーハラスメント、暴力をあおるコンテンツ
校内でスマホを所持していることの問題は、生徒の授業への集中力を削ぐだけではありません。
SNSによるハラスメントが若年層で増加し、いじめの温床を作っていることが非常に問題視されています。また、暴力をあおるコンテンツなどの子供への影響が懸念されています。
国も9月の新学期にテスト運用
フランス教育相、ニコル・ベルベ(Nicole Belloubet)は、今年の新学期から希望する自治体の中学校でテスト運用を全国規模で行うと発表しました。
そのためには学校にある既存の生徒用の個別ロッカーを改造したり、ない場合は新たに設置、さらに電波遮断ポーチなどの購入が必要になります。
つまり費用を捻出する必要があります。
パリ市教育担当の助役は、費用が掛かってもテスト運用をパリ市でも進めたい意向ですが、市長はどうでしょうか?
イダルゴ市長「導入費用は国が持つべき」
これに対し、イダルゴ(Anne Idalgo)市長は「スマホ中毒の子供たちが多いことは事実なので、アイデアには賛成だが、費用はパリ市では持たない」と断言しています。
国はなにかと費用を自治体に押し付けてくるが、国としてテスト運用を決定したのであれば、導入費用も国が出すべきだと主張しています。
これに対し、元教育相のアタル首相(Gabriel Attal)は「子供たちが画面を見すぎている」問題を重要視しており、国が費用負担に乗り出す可能性はゼロではないとみられています。
執筆:マダム・カトウ