皆さんはどんな目標を持ってフランス語を学ばれているでしょうか。
フランスを旅行する時に困らない会話力を身につけたい、フランス映画を字幕なしで見たい、フランスの大学に留学したい、などなど、様々な目標を持たれていると思います。
ここでは、これから本格的にフランス語を学びたい!という方のために、現在のフランス語学習を取り巻く、大きな流れを確認してみたいと思います。
ヨーロッパ言語共通参照枠によるガイドライン
ヨーロッパにおける言語学習は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)というガイドラインに沿ってカリキュラムが作られています。これは、多様な文化や言語が共存するヨーロッパの言語学習における共通基盤で、多くの方が目標にされるDELF/DALFの試験も、これに則って実施されます。
このCEFRで、特に強調されること。それは、ネイティヴ並みの習熟度を目指すのではなく、特定の文脈の中で、効果的なコミュニケーションができる状態を目指すということ。
一方的に自分の意見を述べることよりも、相手の出方や状況に応じて戦略的に自分の意見を伝えることができるか。必要とされているのは、言語を使って「行動」するための力。これをタスク中心型の言語能力と言います。その力があれば、たとえネイティヴ並みの美しい発音や、機械のように正確な文法でなくとも、言語熟達者とみなされます。
「きれいに発音できない・・・」「文法的に正しい言い方がわからない・・・」といった理由で、フランス語を話すことをためらう必要はないのです。
タスク中心型の言語能力を身につけるには?
それでは、CEFRで目指される、タスク中心型の言語能力を身につけていくためには、どうすればいいのでしょうか。
そのためには、何よりも、実生活に近い自然な状況の中で、他者と交渉しながらフランス語を使う体験を積み重ねることが必要だと言われます。言い換えると、フランス語を使うことが目的ではなく、フランス語を使って何らかのタスクを遂行することを目的とする場面に身を置く、という体験です。
これまで私が通ったパリ市の語学講座には、アトリエと呼ばれる自由度の高い授業がありました。
これは、文法重視の普段の授業と違って、先生の得意分野や、生徒の興味関心によって一つのテーマを深める授業のこと。例えば、褒め言葉がびっしり書かれたプリントを参照しながら、教室を歩き回り、自由にクラスメイトを褒めてみよう、というアクティビティがありました。
この時、私は、プリントに書かれた例文をただ読み上げ、相手がそれに一言応答する、という教科書のように完結したやりとりをしていました。一方で、陽気なイタリア人のクラスメイトは、相手の反応を見ながら、片言のフランス語でも身振り手振りで相手を笑わせ、さらに相手もそれに応じてどんどん会話が発展していました。
「正解」を求めて発言内容を完璧に準備しようとしていた私にとって目から鱗。フランス語の習得では、このようなコミュニケーションの能力が求められているということに、この授業を通して気付きました。
具体的な学習方法は?
さて最後に、具体的な学習方法について。
語学学校でよく行うのは、クラスメイトに10個質問をしてみよう!というような対話型のアクティビティ。
上で紹介した、相手を褒めてみよう!というアクティビティもそうですが、相手のリアクションを引き出すような働きかけを率先して行っていくことが、タスク中心型の言語学習にはとても有効です。
私は、Est-ce que〜?Quel(le) est〜?C’est〜, non?など、疑問文の基本構文だけを覚え、単語は指差しでも身振りでもいいので、とにかく質問してみる、というやり方を、日常の中で実践しています。
何か質問をすると、必ず相手のリアクションがあります。それに全力で耳を傾け、できれば会話を掘り下げていく。最初から自分の意見をフランス語で述べることは難しくても、簡単な質問を繰り返すことで会話を掘り下げることは可能です。
あとがき
アンサンブルアンフランセ(//ensemblefr.com/)のように
自由なタイミングでフランス語会話をすることができるSkypeレッスン等を積極的に活用し、実践的な学習の機会を作りましょう。教科書通りのやりとりではなく、生きたフランス語に触れる機会を作っていくことは、タスク中心型学習の重要なポイントです!
次回は、フランス語のタスク中心型学習における重要なタスクを掘り下げながら、もう少し具体的な学習方法をみていきたいと思います。ご期待ください!
Nahoko