フランス語学習の入門~初期はインプット中心の学習法がおすすめだと、前回お話ししました。基本的な文法を学び、語彙を増やし、聞き取る力をつける。これを続けていくと、今度は自分の中に蓄積されたフランス語の知識を外に出したくなる気持ちが強まってきます。いよいよアウトプット学習の開始です。
一人でも話す練習を
「話す」ためには相手が必要です。友人がいるのならおしゃべりを楽しんだり、フランス語会話学校で学んだり。スカイプを使って自宅でフランス語を話す練習ができる、アンサンブルアンフランセもおすすめです。話せば話した分だけ、上達も早くなります。
もちろん、一人でだって話す練習はできます。自分の行動をひとつずつフランス語で描写していけばいいのです。
たとえば朝。
・バスルームで顔を洗いながら「Je me lave le visage.」
・歯を磨きながら「Je me brosse les dents.」
・髪の毛を乾かしながら「Je me sèche les cheveux.」
・そして「J’utilise …」(Je utilise が縮約・エリズィオンされた形)
…あれ?ドライヤーはなんて言うんだっけ?という場合は、あとで辞書をひいて書いておきます(ちなみにドライヤーは un sèche-cheveux です)。
現在形だけでなく、過去形や未来形も使いながら、感じたことや自分の意見を口にする習慣をつけましょう。読んだり書いたりできる簡単な文でも、話すとなるとなかなか言葉が出てこないもの。いつでもどこでも、ぶつぶつと。シンプルな方法ですが、話す技術はかなり上達します。
ディクテのすすめ
フランス語の基本が分かってきたら挑戦したいのが、ディクテ。ディクテとは、聞こえてくる音声を一言一句書きとる学習法です。フランス語にはリエゾンやアンシェヌマンという規則があり、また語尾に発音しない文字が入るので、文法の知識がないと正確に書きとることができません。動詞の活用や形容詞の変換など、注意すべき点はたくさんあります。
ですからディクテは難しく大変ですが、ものすごく力のつく学習法です。フランス語の音やリズムに慣れますし、どんな音が聞き取れないのか、またどの文法項目をきちんと理解できていないのか、自分の弱いところがすべて分かります。
ディクテの方法
一般的なディクテのやり方を説明しましょう。最初に全文を通して聞き、話の内容をつかみます。次に少しずつ区切りながら聞き、言葉を書きとっていく。最後までいったら、全文をもう一度聞いて終了です。
そしてここからがポイント。時間をかけて、自分の書いた文を見直していきます。主語に合わせた動詞の活用ができているか。冠詞のdes に続く名詞や形容詞にきちんと “s” をつけて複数形にしているか。同音異義語の間違いはないか。学校の試験ではないので、この時点で辞書を使って確認してもいいでしょう。完成したら、スクリプトと照らし合わせて間違いをチェックします。
おすすめの音声テキストは?
CDなど音声付きのテキストをお持ちなら、それを使って練習することもできますし、ディクテ専用の本もあります。またインターネット上のスクリプト付ニュースなどを活用してもいいでしょう。
フランス語の動詞活用の本で有名な Bescherelle のサイトでも、ディクテを試すことができます(http://bescherelle.com/)。小学校2年生にあたる CE1 から、中学最終学年の 3ème 用のものまで。少しずつ区切りながら音声が流れてくるので便利です。間違ってしまった箇所を確認し、なぜ間違ったのかを分析。そして完璧にできるようになったら、次の段階へ。急がず丁寧にディクテを行っていくことが大切です。
さらなるインプット学習も忘れずに
読めても書けない漢字があるように、インプットした知識の100パーセントをアウトプットすることは不可能です。「話す」「書く」といったアウトプットのレベルを上げたいのなら、さらなるインプットが必要になります。
レベルがあがるにつれてアウトプットに割く時間を徐々に増やしていくのが理想ですが、同時にインプット学習も忘れずに続けていきましょう。
本や新聞などを読んだり、ラジオを聞いてDVDを見たり。フランス語の知識をインプットするものは、たくさんあります。自分の興味のあるものを選んで、語彙や表現を学んでいきましょう(読むことについては、以前の記事を参考になさってください)。
苦手な分野を中心に
「新しい言葉や表現・文法などを学び(インプット)、その知識を使いこなしていく(アウトプット)」。これを少しずつ繰り返していくことで、フランス語は上達していきます。
語学はなだらかな曲線を描いて上達するのではなく、同じレベルにしばらく留まったあとに、トンっと次の段階に上がるもの。近ごろ上達が感じられないなぁと思っても、その時期に焦らず学習を続けていれば、確実に次の段階に上がれます。苦手な部分を補っていくような学習を進めていきましょう。
執筆 SAWA