現役アーティストがご案内!パリおすすめ美術館10選②オランジュリー美術館とポンピドゥー・センター

2022.07.22

モネ 睡蓮

現役アーティストがパリでおすすめの美術館をご案内するシリーズ2回目は、オランジュリー美術館国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)です。フランスの近・現代美術を知る上で欠かせないのが、この二つの美術館。今回はその魅力について紹介していきます。

 

3)オランジュリー美術館

オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)は「エコール・ド・パリ」と「印象派」の作品を鑑賞できる美術館です。

ルーブルやオルセー(パリおすすめ美術館10選①ルーブル&オルセー編参照)に比べてこぢんまりとしていますが、その分ゆっくり名画と触れ合えることができます。

またチュイルリー公園(Le Jardin des Tuileries)内に立地しているので、外に出れば公園のベンチで休めるというのも魅力の一つです。

エコール・ド・パリとは?

エコール・ド・パリ(École de Paris)は「パリ派」といって、芸術の中心地だった20世紀初頭のパリに集まった外国人画家たちをおもに指します。

彼らは、それぞれが自分達のオリジナルな表現を追求。その中には日本人画家でのちにフランスに帰化しクリスチャンとして洗礼を受ける藤田嗣治もいました。

同館はそうしたエコール・ド・パリの画家であるモディリアーニ(Amedeo Modigliani)、スーチン(Chaïm Soutine)、ローランサン(Marie Laurencin)などの作品が豊富。これは当時彼らを支えた画商ポール・ギヨーム(Paul Guillaume)のコレクションによるものです。

あなたがオランジュリー美術館に行けば、「芸術の都だった巴里」の歴史を垣間見ることができるでしょう。

目玉はモネの「睡蓮」

オランジュリー美術館の目玉作品はなんといってもモネ(Claude Monet)の「睡蓮(Les Nymphéas)」です。これはモネ最晩年の作品で、同館はこの作品を展示するために作られたと言われています。自然光を取り入れた展示室には8組の連作絵画からなるパノラマ空間が広がっており、観るものを包み込んでくれるかのようです。

作品を観賞する前に、ジヴェルニー(Giverny)にあるモネの邸宅と庭園を訪ねておくことをおすすめします。モネが育てた庭に咲く睡蓮を見た後にモネの「睡蓮」を観れば、その感動もひとしおに。

私は絵を観てからの訪問でしたが、格別な感動が得られました。日帰りも可能な距離なので、スケジュールに余裕があればぜひ訪れてみてください。

※スイレンのフランス語は nénuphar もしくは nymphéa です。モネはタイトルにただのスイレン nénuphar ではなく、神話の妖精ナンフ nymphe を想起させる単語 nymphéa のほうを選んでいます。私はそこに作品に対するモネの詩的な思い入れを感じます。

オランジュリー美術館HP

 

4)国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)

ポンピドゥー・センター

国立近代美術館のあるポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)は、芸術大国フランスが国をあげて作った総合文化施設。現代美術の中心地だったニューヨークに倣い、パリでも現代美術を活性化させるために当時のポンピドゥー大統領が発案しました。

設計を担当したのは、イタリア人建築家のレンゾ・ピアノとイギリス人建築家のリチャード・ロジャースです。建物は「工場」を想起させる全体感で、近代建築らしい無機質な印象を受けます。

近・現代美術の宝庫

同館はおもに近・現代美術(Art moderne et contemporain)を多く収蔵しており、マティス(Henri Matisse)やピカソ(Pablo Picasso)、カンディンスキー(Vassily Kandinsky)、クレー(Paul klee)、マグリット(René Magritte)、イヴ・クライン(Yves Klein)などの作品を観賞することができます。

特にマティス作品が多く常設されており、その代表作「ルーマニア風のブラウス(La Blouse roumaine)」は平面絵画の傑作といわれています。

また、現代美術の展覧会も頻繁に行われているので、近代美術から現代美術への移り変わりを辿ることもできます。近・現代美術に興味がある人にとっては、おすすめの美術館と言えるでしょう。

「ブランクーシのアトリエ」にもぜひ

私のおすすめは、本館の企画展と常設展示をゆっくり堪能したあと、正面エントランスを出て右手にある「ブランクーシのアトリエ」に立ち寄るコース。ブランクーシ(Constantin Brancusi)はルーマニア出身の彫刻家で、1957年に亡くなるまで50年以上パリで活躍しました。

同アトリエはもともとモンパルナスにあったものを再現していて、中に入るとブランクーシの創作の息吹を感じ取ることができます。展示品は主に彫刻で、そのオブジェティックな形は現代インテリアともよく調和し、色褪せることがありません。

国立近代美術館の総所蔵作品数は10万点、ヨーロッパでは最大級です。フランスが国の威信をかけて作り上げた芸術空間をぜひ一度味わってみてください。

ポンピドゥー・センターHP

 

「エコール・ド・パリ」と「近・現代美術」

今回は「パリでおすすめの美術館10選」のうち、近・現代美術の傑作が鑑賞できる2つの美術館について紹介しました。

エコール・ド・パリの作品やモネの睡蓮を堪能できるオランジュリー、近・現代美術の作品が豊富なポンピドゥー・センターの国立近代美術館。どちらもおすすめです。

作品を鑑賞する前に、本記事に出てきた画家の名前や「エコール・ド・パリ」などについて調べておくと、より一層楽しめるでしょう。フランス語で検索すれば、フランス語の学びにもつながり、現地での鑑賞の助けになるかもしれません。

それでは、Bonne Visite!

執筆 KEIJI
Instagram:@jjs_portrait
note:keiji

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