9月から小学教科書に適用される「新正書法」って?

2016.03.11

en65-1

フランスでは先月頭「9月から新正書法に!」。今日は、フランス語の新しい綴りについてお話ししたいと思います。

 

新正書法とは

en65-2

「アクサン・シルコンフレックスが無くなるのか?」などとメディアやSNSで大きく取り上げられたので、耳にした方もいらっしゃるかもしれません。発端となったのは、フランスのテレビ局TF1に2月3日付けで現れた記事。綴りが変更される単語は約2400で、上述の記事は例えば下のような例を挙げています。

(旧)→(新)
oignon → ognon
nénuphar → nénufar
maîtresse → maitresse
coût → cout
paraître → paraitre
week-end → weekend
mille-pattes → millepattes
porte-monnaie → portemonnaie
des après-midi → des après-midis

ご覧の通り「まぁこれは許容範囲か」というものから「ええ!?これはあり得ない!」と言いたくなるものまでありますが、2016年度からは小学校の教科書はすべてこの「新正書法」で統一されます。

「新正書法」と書きましたがよくよく読めば実際はそれほど「新しい」わけではなく、定められたのは今から25年前以上も前の1990年です。言われてみればそのころにも話題に上っていたことを、今更ながらうっすらと思い出しました。フランス語学習をよりシンプルにするという目的で、当時も侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の末に提案されたのがこの新正書法なのです。けれどもすべてが新正書法で統一されることはなく、オフィシャルには旧正書法と併用のまま。実際は旧正書法がメインのまま四半世紀が過ぎたというわけです。

とはいえ、そのまま立ち消えになったわけではありません。Le monde紙の記事によれば、2008年ごろから新たな動きが見えていたようです。例えば同紙は、2007年にグルノーブル・アカデミーが教育プログラムで新正書法使用を呼びかけたことなどを挙げています。
そうして今年2016年。先月のTF1記事をきっかけに、新正書法使用の動きがにわかにクローズアップされたのはやはり教科書が新正書法採用を決めたことが大きいでしょう。

Golden onions on rustic wooden backgroundoignon? それとも ognon?

新正書法で何が変わるのか

さて、それでは気になる新正書法。主な変更点を挙げてみましょう。

1) 数字のハイフンが必須となる。
cent trois(旧)→ cent-trois(新)等。ただし、millier, million, milliardはこの限りではない。

2) 2つの語をハイフンでつなげてできた単語のいくつかは、ハイフンがなくなる。
例:porte-feuille(旧)→portefeuille(新)/auto-stop(旧)→autostop(新)

3) ハイフンでつなげる複合語は、2つ目の名詞の単数複数を、単語の単数複数に合わせる。
un cure-dents(旧)→ un cure-dent(新)/ des cure-ongle (旧) → des cure-ongles(新)

4) iとuのアクサン・シルコンフレックスは、付けなくても良い。
ただし同音異義語のあるものについては、この限りではない。jeûne と jeune, mur と mûr 等。また、動詞の1,2人称複数の単純過去形もアクサン・シルコンフレックスが残る。

5)いくつかの単語では、アクサン・グラ―ヴがアクサン・テギュに置き換わる。
réglementation (旧)→ règlementation(新)等。céderのような動詞の活用形も同様。je céderai(旧)→ je cèderai (新)

6) -eler と -eterで終わる動詞は、すべてpeler, acheterと同じ活用となる。
ただし、appeler, jeter とこれらの動詞から派生した動詞はこの限りではない。

7) 外来語もフランス語の規則に従って複数形にする。
des jazzmen(旧)→ des jazzmans (新)

8) laissé + infinitifの場合、laisséは不変化となる。
elle s’est laissée faire(旧)→ elle s’est laissé faire(新)

9) 例外的と思われるスペルの単語を変更。
たとえば、boursoufler(旧)→boursouffler(新)、chariot(旧)→charriot(新)、ambiguïté(旧)→ ambigüité(新)、など。

うーん・・“簡単に”まとめたつもりでも、例外が多くてやっぱりすっきりしませんね。また旧正書法は依然として有効ですので、上の単語は新旧どちらで書いても正しいことになります。どっちでも正解と言われると本当にシンプル化されたのか、それとも覚えることが増えてより複雑になったのか、悩んでしまいそうです。

 

まとめ

おそらく当面は、新聞や雑誌などのメディアは旧正書法のままなのではないかと思います。けれども新正書法の教育を受けた子供たちが社会に出る頃には、どうなっているでしょうか…?

新正書法に関するオフィシャルな文書はこちらからご覧頂けます。興味のある方はどうぞご一読ください。

執筆:ゆき
執筆:ゆき

オンラインフランス語学校アンサンブルアンフランセは、プロの講師によるマンツーマンのスカイプレッスンが1回1500円~受講できます。いつでもどこでも手軽に受講できる利便性と生徒一人一人にカスタマイズされた質の高いレッスンが好評です。→フランス語無料スカイプ体験レッスンはこちら メールマガジンであなたのフランス語学習をサポートする情報をお届けします。フランス語メールレッスン

Classement