フランス語翻訳が難しいといわれる理由《名詞編》

2020.11.09
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フランス語を学習していると「フランス語をうまく日本語に訳せない」、「辞書に書いてある訳をそのまま使っても日本語にすると何かが違う」と戸惑うことはありませんか?単語の意味や文法を理解していも、フランス語は日本語に訳しにくいと言われているのです。今回は、その理由とフランス語を訳すためのポイントをご紹介します。

 

1.ひとつの単語に複数の意味がある

実は、フランス語は英語に比べて語彙数が少ないと言われています。「語彙数が少ない」ということは「覚える単語の数が少ない」ので、フランス語学習者の方にとっては好都合に思えますよね。

ですが、語彙数が少ないということは、ひとつの単語にいろんな意味を持つ言葉(多義語)が多いということでもあります。

例えば、『le sens 』という単語(名詞)を辞書で引いてみましょう。

1.感覚、知覚
2.官能
3.認識能力、勘
4.判断力、分別
5.意見
6.意味
7.意義、存在理由
8.方向
9.向き、位置
(参照:旺文社 ロワイヤル仏和中辞書)

ざっと見ても le sens という名詞にはこれだけの意味があります。この中からどの意味で使われているのかを見極めて訳さなければならないのです。では、例文を見ていきましょう。

・4の「判断力、分別」の意味で使用されている文
Il a perdu le sens.
(彼は理性を失った。)

・6の「意味」で使われている文
Je vais chercher le sens de ce mot dans un dictionnaire.

(この言葉の意味を辞書で調べます。)

フランス語は le sens のように、ひとつの単語が複数の意味を持つことが多いのです。このような単語を含む文章の場合、前後の文脈などから判断して適切な意味を用いるようにしなければなりません。間違えると誤訳になってしまいます。多義語の多さは、フランス語の翻訳を難しくしている原因のひとつといえますね。

 

2.抽象名詞が多い

抽象名詞とは、感情や概念など具体的な形を持たないものを表す単語です。例えば、フランス共和国の標語である「自由、平等、友愛」( Liberté, Égalité, Fraternité はすべて抽象名詞です。これを日本語に訳すのが、意外と難しいのです。

例文を見てみましょう。
Elle a eu la gentillesse de me donner un conseil.

la gentillesse は「親切」という意味の名詞です。この文を直訳すると「彼女は私にアドバイスをするという親切を持った」となり不自然な日本語になってしまいます。この場合、「彼女は親切にも私にアドバイスしてくれた」と訳した方が日本語として自然だと思いませんか?

la gentillesse が名詞だからといって、日本語訳でも名詞のままにしておく必要はないのです。文章の意味をきちんと理解した上でわかりやすい日本語にすること、それが翻訳においてひとつの重要なポイントとなります。

 

3.主語が無生物であることが多い

日本語にはあまり見られませんが、フランス語では人間ではないもの(無生物)を主語にすることが非常に多いです。

例文を見てみましょう。
L’arrestation de cette actrice m’a surpris.

この文では L’arrestation (逮捕)という無生物名詞が主語です。直訳すると「この女優の逮捕は私を驚かせた」となります。しかし「この女優の逮捕」と訳してしまうと、この女優が(他の誰かを)捕まえたという意味にも聞こえてしまいます。

こんなときは「この女優が逮捕されたので、私は驚いた」と訳せばどうでしょう。意味がはっきりしますし、自然な日本語になったと思いませんか?L’arrestation を「逮捕」という名詞で訳さずに、「逮捕された」と動詞にして訳しました

これは前途の抽象名詞でご説明した「名詞を名詞のまま訳さない」という技術と同じですが、一般的に無生物が主語の場合、日本語では動詞にすると訳がうまくいきやすいと言われています。

 

4.抽象名詞と無生物が合体した単語がある

抽象名詞は基本的に無生物なのですが、抽象名詞かつ無生物の単語が主語という形の文もあります。

例文を見てみましょう。
Son absence me fait souffrir.

この文では son absence(不在)という抽象名詞が主語になっていますが、 absence はどう訳せば良いでしょうか?直訳すれば「彼の不在は私を苦しませる」ですが、これでは堅苦しいです。この場合も「不在」と名詞のまま訳さずに、「彼がいなくて苦しい」とわかりやすくして構いません

多くの方は原文の品詞のまま日本語も訳さなければならないと思っていますが、決してそんなことはありません。上記にあげたように、抽象名詞や無生物主語を日本語に訳す際、品詞を変えると上手くいくことが多いです。ぜひ参考にして訳してみてください。

 

まとめ

フランス語を日本語に翻訳するのは難しいかもしれませんが、コツを知って工夫をすることで原文のニュアンスに近い訳をすることができます。今回は名詞についてお伝えしましたが、翻訳のポイントは原文の品詞に捉われないことです。柔軟に、楽しみながら訳してみてくださいね。

執筆 ちはる

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