形容詞は辞書を引けばすぐに意味が分かると思ってしまいがちですが、実はそうとも限りません。今回は形容詞を翻訳する際に気をつけること、上手な訳し方のコツをご紹介します。
形容詞の位置が名詞の前か後かで意味が異なる
grand、vieuxのような音節が短く、日常性の高い形容詞以外は基本的に名詞の後に置かれます。ですが、名詞の前や後にも付くことができ、位置によって意味が変わる形容詞があるのをご存知でしょうか。
例えば grand は基本的に名詞の前に置かれる形容詞ですが、名詞の後に置かれることもあります。un grand homme は「偉大な人」の意味ですが、grandを名詞であるhommeの後に置いてun homme grand とすると「背の高い人」という意味になります。
同様に、vieux も本来ならば名詞の前に置かれる形容詞ですが、un vieil amiは「旧友」の意味になり、un ami vieux は「年老いた友」の意味になります。
(vieux は男性形、女性形、複数、単数などによって vieux / vieil / vieille…のように形が大きく変わります)
これらの用法を使うときは、知っている形容詞であっても常に辞書で確認するようにしてみてください。
適切な日本語を考えなければならない
例えば、solitaireという形容詞を辞書で引くと「孤独な」という意味ですが、la maison solitaire という言葉が出てきた際、そのまま「孤独な家」と訳してしまって良いのでしょうか。文脈にもよりますが、「うらさびしい家」や「ポツンと建っている家」と訳した方がイメージが伝わりやすいかと思います。
solitaireは辞書によっては「孤独な」の他に「人里離れた」という意味も記載されています。辞書に載っている意味、または一番最初に載っている意味をそのまま使うのでははなく、その単語の持つ意味からイメージを広げてピッタリの日本語を探すのが形容詞を翻訳するひとつのポイントです。
形容詞が並列した場合の訳し方のコツ
最後に、2つ以上の形容詞が並んでいる場合の訳し方について考えてみましょう。
例えば、une chemise à rayures noires et blanches は「黒と白のストライプのシャツ」という意味ですが、「白黒のストライプのシャツ」と訳しても何の問題もありません。形容詞が並列されている場合、必ずしも順番通りに訳す必要はないのです。
un temps chaud et humide は順番通りに直訳すると「暑くて、湿気が多い天気」ですが、chaud(暑い)とhumide(湿気が多い)を合わせて「蒸し暑い」と訳すことが出来ます。このように2つの形容詞をひとつの単語のように訳す工夫も出来ますので、必要な時はぜひ用いてみてください。
まとめ
形容詞の訳し方には、訳した人の特徴が色濃く現れます。辞書に載っている意味を十分に踏まえながら、文章にピッタリの日本語を考えてみてくださいね。
執筆者 ちはる