フランス イースター祭のチョコレート、インフレ率超える価格高騰のワケ

2025.04.15

2025年4月15日(火)、今年のイースター(復活祭)は20日(日)ですが、このお祭りに欠かせないのが卵やウサギ、鐘の形をしたチョコレートです。今年もスーパーやパン屋、チョコレート専門店の店頭にずらりと並んでいます。近年はインフレの影響でチョコレートの価格が上がり続けていますが、今年は特に大幅値上げとなり、フランスの消費者には大きな負担となっています。

 

チョコレートの平均価格15%値上げ、それでもフランス人はチョコを買う?

フランスでチョコレートの売り上げが最も高くなるのは、クリスマスとイースターというキリスト教の二大イベントの時期です。家族が集まり、普段より豪華な食事をし、チョコレートも板チョコではなくプラリネ入りなどちょっと高級なもの買って贅沢をします。

このイベントに欠かせないチョコレートの今年の販売価格は前年比で平均14%上昇、価格が最も安いスーパーなどのPB(プライベートブランド)商品では23%も値上がりしています。

チョコレート業界連盟の会長、ジル・ルヴィエール(Gilles Rouvière)氏は、「(高騰にもかかわらず)フランス人はイースターにチョコレートを買うことに強いこだわりがある」と述べています。

この時期購入されるチョコの4分の3は「子供向け」ですが、同連盟が調査したところ、2024年は子供向け(+2.4%)よりも大人向け(+8%)の購入の方が伸びています。

 

カカオの価格、インフレ値上げを越える高騰ぶり、2年前の3倍

昨年のインフレによる食品価格上昇率は前年比でわずか0.5%、それを大幅に上回るチョコレートの価格上昇の原因とは言いがたいものがあります。

世界のカカオの70%を生産するコートジボワールとガーナが2年続けて悪天候に見舞われ、生産量が大幅に減ったことが原因です。

2023年1月に1トンあたり2200ユーロ(約356,000円/1ユーロ=約162円)から値上がり始めたカカオの価格は、昨年12月には4.5倍になり、今年3月から7100ユーロ(約116万円)前後で推移しています。

カカオ生産国の不作による品薄は「解消」も、チョコは値上がりのワケ

しかしながら、価格が上がりすぎて需要が減ったことから、原産国の農家はカカオ農地を増やすなどで生産量を増やした結果、現在4年ぶりに在庫が積み上がってきています。

にもかかわらず、今年さらに値上がりした理由は、チョコレートの需要が高いイースター時期に合わせ、メーカーがカカオを何カ月も前に購入しているためです。

激しい価格競争、カカオの含有率の低いチョコで価格抑え

そうはいっても、イースターのチョコはどこでも、大きな卵形かウサギ形の中に小さなチョコの卵が入っているといった、似たり寄ったりの商品が出るため、競争も激しいのが現状です。

価格を抑えるために、スーパーなどではカカオの含有率の低いものや、ホワイトチョコレートの代わりに「ミルククリーム」(「ホワイトチョコ」”chocolat blanc”と呼ぶにはカカオバター20%含有が必要)で作られたものも出回っています。

一部の大手スーパーチェーンは、「カカオの含有率は下げていない」と公表していますが、そもそもカカオを含まない代替商品を増やしているようです。

イースターのチョコの販売、今週がピーク

パリのチョコレート専門店(”chocolatier”)を訪れた50歳のジャック(Jacques)さん、卵形やウサギの形をしたチョコを物色しています。大幅な値上がりを実感しつつも、「イースターのチョコは我慢しない」と述べています。その代わり、例年よりサイズが小さいものを買うことで、予算を抑えるとか。

今週がピークのイースター向けチョコレート販売、今年の消費者の動向がどうだったかは、終わってみないとわかりませんが、お財布の紐はそう簡単に緩まなさそうです。

 

イースター、なぜ卵形のチョコを食べるのか?

フランス語でパック(” Pâques”)と呼ばれるイースター、キリストの復活を祝うお祭りであることは知られていますが、なぜ卵やウサギのチョコレートを食べるのでしょうか?

実は1800年以前はチョコレートではなく、本物の卵をプレゼントしていました。「卵」は世界の起源、つまり「新生」の象徴ととらえられていました。

ペルシャ人は、冬の終わり、自然の「再生」を祝うため、キリスト教徒は、キリストの「復活」と四旬節(イースター前の40日間の節制と反省の時期:断食したり肉や卵、嗜好品を控える)の終わりを祝って卵を贈りあっていました。

19世紀になると、職人がカカオパウダーとバターに砂糖を加え、型に入れて作った「チョコレート」でこの卵が作られます。

子供たちは、今年も庭に隠された卵探しを楽しみにしているでしょう。

執筆:マダム・カトウ

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