パリ協定COP21から10年、どう変わった?パリの街

2025.04.18

2025年4月18日(金)、国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)において、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」が採択されてから10年が経ちました。2050年までに温暖化ガスの排出をゼロにすることを目指すこの協定に署名してから、パリの空気は改善したのでしょうか?パリ市がこの10年間の取り組みと結果を公表しています。

 

パリの大気汚染20年前から半減

大気汚染の調査を行う非営利団体、エアーパリフ(Airparif)の発表によると、2005年から2024年の間、パリを含むイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)で行った調査で、人体に最も有害とされる規制対象の大気汚染物質である微小粒子状物質(PM)が55%、二酸化窒素(NO₂)は50%減少しています。

つまり、パリの空気は大幅に改善したというわけです。

また、大気汚染が原因の一つとされる疾病による死者は、2010年の1万人から19年には6,400人にまで減っています。

 

パリ市内の取り組み、自転車道、緑地化など

この10年でパリ市が行った取り組みとして、下記が挙げられます。

・550kmに渡る自転車専用レーンの設置
・155000本の植林
・45ヘクタールの緑地化
・公共施設300棟の省エネ対策のための改築

パリ中心部、自転車優先で車締め出しが加速

自転車専用レーンはコロナ禍から急激に増え、特にパリの右岸の目抜き通りの一つ、リボリ通り(rue de Rivoli)の2車線通行を一方通行にし、残りの半分が2車線の自転車専用道路になっています。

パリ市内で目立った変化は、バスチーユ広場からルーブル美術館前を通りコンコルド広場まで抜ける約3kmのリボリ通りが、居住者、医療関係、業務車両など許可された車両以外通行できなくなったことです。

それ以前にも、セーヌ川岸に走る車道は廃止され、自転車と歩行者のみ通行できる道路に変更され、今ではパリ市民や観光客の憩いの場になっています。

今年本格化するZFEとZTLとは?

2025年1月より、排出ガスに応じて車両を区別するエコロジーラベル制度「クリテール」(Crit’Air)でラベル3以下の車両は、排ガス「超低排出ゾーン」ZFE(Zone à faibles émissions)に指定された地区への通行が規制されています。

クリテール3の車両とは:

・ガソリン車:2006年1月1日~2010年12月31日に登録されたユーロ4規格の車
・ディーゼル車:2011年1月1日~2015年12月31日に登録されたユーロ5規格の車
・二輪車等:2007年〜2016年に登録されたユーロ2・ユーロ3のバイクやスクーターなど

環状線を含むパリ市内及びヴァンセンヌの森(Bois de Vincennes)、ブーローニュ(Bois de Boulogne)への平日の通行は禁止、ただし、ラベル3に関しては年に24日間の24時間通行パスの申請が可能となっています。(詳細はこちら

パリ市内の車両での「通り抜け」お断り

一方、車両交通規制区域、ZTL(Zone à Trafic Limité)は、パリ市内の通り抜けを規制するもので、指定区域では、発着しない車両は通行が禁止されています。

車両買い替えに補助金

排ガス量の多い古い車の規制を徐々に厳しくする一方、パリ市および一部の郊外を含むグランパリ地域には車両の買い替えで6,000ユ―ロまで(約97万円/1ユーロ=約162円)、電動自転車の購入に500ユ―ロ(約8万円)までの補助金があります。

20年前に比べ確かに中心部の交通量は激減しましたが、パリ住民としては、天気予報を見ると、天気のいい日はしばしば「大気汚染警報」が表示されるのはなぜなのか?と思ってしまいます。

パリ市は、パリ協定の目標である2050年までのカーボンニュートラル(排出量ゼロ)が達成できるのか?今後の動向が注目されます。

執筆:マダム・カトウ

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